まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
たまにライヴや本の感想、中小企業診断士活動もアップします。

殺されたミンジュ

2016-03-07 23:14:15 | 韓国映画(あ~な行)

キム・ギドク監督、ということで興味を持って観に行きました。

女子高生のミンジュが突然数人の集団に襲われ、殺される。一年後、その時殺害に関わった人間が一人ずつ、正体不明のグループにさらわれて秘密のアジトで拷問を受け、あの日何が起きたのか、告白させられる。

時には対北朝鮮特殊部隊、時にはヤクザ、時には情報部の姿を装い、不気味な拉致を繰り返す彼ら。彼らの狙いは何なのか、そしてミンジュ殺害に秘められたことは何だったのか。。。

韓国映画、そしてキム・ギドクらしく、拷問シーンを中心に痛いシーンがたくさん。釘を打った棒でバコバコ殴ったり、手の甲をハンマーで叩いて骨折させたり、ヘッドホンで大音量を聞かせたり電気式拷問器を使ったり、どうしてそんなものが手に入るんだと思ったら、グループのリーダーが退役軍人だったから何かの伝手があるのでしょう。

自分の娘が殺されて、その理由を探るためにやっているんだと後半からわかってきますが、誰の口からも出てくる言葉は同じ「上からの命令だ」ということで、何の疑問も持たずただ命令されたから、指示されたから、という理由で女子高生を殺害する。そうしたある種盲目的な状態にぞっとします。「顔のないヒトラーたち」でナチの人たちが命令に従ってユダヤ人を虐殺したように、自分の良心や理性、人間としての倫理観などが組織の中の命令に負けてしまうことはよくあるのでしょう。ただ今回一番トップと思われる人物に辿り着いても、やはり「命令だ」と言われる、何とも言えない不気味さがありました。

正体不明グループのメンバーの負け組っぷりというか、社会階層の下のほうにいて格差が際立っている点も目を引きました。DV彼氏と別れられない女性、アメリカへ留学までしたのに就職できないニート、再開発のため取り壊された瓦礫の山で半分ボケてきた母親と暮らす男性、知人の借金を騙されて肩代わりさせられた男性、小さな自動車修理屋で店長から殴られてばかりの若者と、目を覆いたくなるような境遇も多く、格差も韓国の社会問題の一つなんだなあと思います。

公式サイトはこちら

1/23 ヒューマントラストシネマ有楽町
クリックで救える命がある。投資信託


最新の画像もっと見る

コメントを投稿