「生命とは何か?」この命題を分子生物学が専門の著者がDNA発見の歴史などを織り交ぜながら、綴っていく。
生命科学が20世紀に到達した「生命とは何か?」のひとつの答えは「生命とは自己複製を行うシステムである」というものである。日本ではいまだに偉人で千円札の肖像にもなっている野口英世だが、実はその研究成果は今ではほとんど意味がないものだった、という自分にとっては驚きの話(生物学の研究者には当たり前 . . . 本文を読む
『ゆれる』や『ディア・ドクター』『夢売るふたり』の監督、西川美和が小説を書いていることをたまたま雑誌の書評で見て、終戦の日の出来事ということもあり読んでみました。西川監督の伯父の実体験を元にした作品だそう。
身体が小さく徴兵検査で第二乙種と判定され工場で働いていた「ぼく」にも、5月半ばにいよいよ召集令状がきて陸軍通信隊に入ることになった。1ヶ月あまりの大阪での訓練の後、東京の通信隊本部に転属し . . . 本文を読む
「ロングテール」や「フリー」でWeb2.0時代のビジネスの特徴を鋭く分析していたクリス・アンダーソンの新著は、Webの影響がサイバー空間であるビットの世界だけでなく、リアルなアトムの世界にいよいよ及んできている、その萌芽を捉えたもの。
3DCADソフトや3Dスキャナ、3Dプリンタ、CNC装置にレーザーカッターなどがデータで繋がり、さらに電子部品なども世界中のどこからか買い付けられることで、個人 . . . 本文を読む
ハーバード大学の日本史の授業で人気を博し、2012年10月の今はケンブリッジ大学に研究員として在籍している北川智子の著書。自分史を振り返りつつ、ハーバード大学の日本史クラス「The Lady Samurai」と「Kyoto」を紙上で再現する。
カナダの大学では数学と生命科学を専攻し、ばりばりの理系だった著者はたまたま日本語ができるから、というだけの理由で日本史の教授のアルバイトをしたのがきっか . . . 本文を読む
第134回直木賞受賞作、そして国内の主要ミステリランキングで1位を獲得して、福山雅治主演でTVシリーズもヒットし映画化された、ガリレオシリーズの長編。
高校の数学教師石神は、隣に住む花岡靖子とその娘美里が、離婚した前の夫富樫を殺してしまった事件に遭遇する。花岡靖子に好意を抱いていた石神は、その天才的な頭脳で母子の犯罪を隠蔽すべく画策する。警察の目はうまく誤魔化せたかに見えたが、石神と帝都大学で . . . 本文を読む
映画を観てからずっと読みたいと思っていてた原作を、ようやく読むことができました。映画では、希和子の時間と恵理菜の時間が交互に描かれていたけれど、小説では希和子の物語、赤ん坊を抱きあげてから逃げ続けて、薫=恵理菜と一緒にエンジェルホーム、そして小豆島での生活へと至るまでが、先に描かれます。
逃げる途中では、映画では省略されていた、名古屋の再開発立ち退き区域の家で無口なおばあさんと一緒に数日過ごす . . . 本文を読む
Twitter、そしてFacebookが爆発的に普及し、新たな情報メディアとなった近年、ソーシャルメディアは今までにない力を見せ始めました。アラブの春やウォールストリート占拠といったリアルな行動につながっていったのです。こうした『革命』を起こすソーシャルメディアの力を分析し、ムーブメントを起こすために著者が整理した情報発信の方法論が語られます。
そして、日本でTwitterがブレイクしたきっか . . . 本文を読む
2012年本屋大賞第2位、そして直木賞候補にもなった本作品は、息詰まるサスペンス・アクション。日本とアメリカ、そしてアフリカのコンゴを舞台にストーリーが展開する。
薬学部の修士課程2年、古賀研人は、父の突然の死の後、不可解なメールに誘われて肺胞上皮細胞硬化症という不治の難病の治療薬開発に挑む。その薬を切望しているのが、民間軍事会社にいたイェーガー。息子がこの病気を発症し、この病気の権威がいるリ . . . 本文を読む
理念なき「成長」を目標に掲げる日本企業の姿勢に異議を申立て、「リ・インベンション」でやりたい仕事をしっかりと定めることが経営戦略の第一歩と説く。
日本企業の停滞を、利益率や家電の普及率などから明らかにして、経営者を中間管理職の延長線上に位置づけたことが間違いだったと解説する。そして、一般的なごく普通の日本企業がとってきた4つの戦略、イノベーション、品質向上、多角化、国際化について、それぞれセイ . . . 本文を読む
日本にある会社の99%以上が中小企業、佃製作所みたいな中小企業が世にあふれたら、日本経済も元気になるだろうな。第145回直木賞受賞作。
佃航平がロケット開発の研究者としての夢を諦め、父の死に伴って社長を継いだ家業の佃製作所。技術力を売りにする中小製造業で、研究開発のレベルの高さは佃航平の研究者としての実績と経験もあり、有名な大手企業にもひけをとらない。社長を継いでからある程度順調にやってきたそ . . . 本文を読む
昭和16年12月8日、日本は真珠湾奇襲攻撃に成功し、国内は戦勝ムードにあふれていた。しかし対米開戦前に、この戦争を『必敗』と結論づけた報告があり、当時の首相近衛文麿、陸相東條英機もその詳細な内容を知っていた。
欧州で第一次世界大戦を経験し、これまでの戦争とは全く異なる次元に入ったことを体感した少壮の士官たちが設立に尽力した総力戦研究所に、昭和16年に第一期生が召集される。官、軍、民間それぞれか . . . 本文を読む
タイトルからは、統計を悪用したり誤用したりしている事例を紹介、解説しているような印象を受けますが、内容は全く正反対で、現実の事象に統計学がいかに活用されているか、また統計学の限界などを実例をもとに紹介しています。
対象となる事例は、ディズニーランドのアトラクションの待ち時間、交通渋滞、クレジットカードのクレジットスコア、O157感染症の感染源の特定、大学入試SAT試験での公平性の確保、フロリダ . . . 本文を読む
松たか子の演技が昨年注目を集めた映画の原作で、本屋大賞受賞作です。文庫本特典として、映画化した中島哲也監督のインタビューがついています。
各章が登場人物の一人称独白という不思議なスタイルで進行していきます。その語り口に吸い込まれるように、一気に読ませる力はさすが評判の作品です。映画はまだ見ていないのですが、第一章が松たか子の演技なんだと思うと背筋がぞくぞくします。いったいこれをどんなふうに演じ . . . 本文を読む
映画やドラマにもなっている大ベストセラーにして、第4回「このミステリーがすごい大賞」の受賞作、海堂尊のデビュー作をようやく読みました。
前半から大学病院の微妙な人間関係と、それに対応する主人公である不定愁訴外来(通称愚痴外来)の担当医、田口の細やかな心の動きの描写で物語を引っ張ります。勢いにのってどんどんと読み進めてしまいますが、後半に厚生官僚の白鳥が登場してからのギアチェンジとドライブ感は、 . . . 本文を読む
ワークライフバランスを積極的に推奨している著者が、残業スパイラルから抜け出して仕事だけでなくプライベートまで段取りよくするノウハウをたくさん紹介した本。
最初に「なぜ残業を減らさなければならないのか?」という問題意識を共有した上で、段取りよく仕事をして残業を減らすための具体的なノウハウについて紹介しています。
まず1つ目はスケジューリング術。日単位や週単位でスケジューリングを立てること、隙間 . . . 本文を読む