軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

カラスアゲハの羽化

2024-05-31 00:00:00 | 
 昨年、我が家の庭にあるキハダにカラスアゲハの♀が飛来し、産み付けていった卵を育て、蛹になるまでを観察・撮影したが(2023.12.8 公開当ブログ)、この蛹が無事冬を越して、今年の春に羽化していった。

 蛹は3匹で、その内2匹はキハダの木から卵の状態で室内に取り込んで、飼育してきた。もう1匹は、3齢になったところを、同じキハダの木で見つけ、先の2匹と共に室内で育て、昨年10月に蛹になっていたものであった。

 5月のGWになり、旧軽井沢銀座通り近くにある私のガラスショップの前の道を、春型のカラスアゲハかミヤマカラスアゲハが青い構造色を輝かせながら、悠々と飛んでいるのを見かけるようになった。

 カラスアゲハの羽化の様子を撮影したいと計画していたので、我が家の3匹の蛹の羽化も近いと警戒を強めて、毎朝外観の変化を観察した。

 やがて、これまで全体に緑色をしていた蛹の内(腹)側の色が黒っぽくなってきているのに気が付いた。内側には翅が回り込むようにして折りたたまれているので、その色が見えてきたのであろう。いよいよ羽化が迫っている。

 前日の夕方に、黒化がさらに進んでいることを確認した翌朝、見に行ってみると羽化が始まっていて、すでに成虫が蛹から抜け出し、支柱の割りばしにつかまっている所であった。

 早速用意してあった室内の撮影場所にこの成虫を移して撮影を始めた。まだ伸び切っていなかった翅が次第に伸びていくところを撮影でき、次のようであった。

 
1頭目のカラスアゲハ♂(A)の羽化(2024.5.11, am 7:47~8:53  30倍タイムラプスと通常撮影後編集)

 残りの2匹の蛹の内、1匹は先に羽化した個体と同等の大きさであり、蛹化した時期も半日遅れとほぼ同じであったので、羽化は時間の問題と考え、2匹とも一緒に室内に取り込んで撮影にとりかかった。

蛹の外観変化(上から、2024.5.12, am5:18, 13:59, 22:40 撮影ビデオからのキャプチャー画像)

 1頭目はすでに蛹から出てしまっているところを見つけたので、2頭目の今回は、蛹から出てくるところから撮影したいと思っていた。

 タイムラプス撮影をする都合上、連続してLED照明を当て続けることになる。羽化は通常夜明け前に起きると予想されるので、やむを得ず夕方に撮影を開始し、夜間も照明を使用し続けることにした。

 今回は心配した照明光の羽化への影響もなく、無事羽化を見届けることができた。次のようである。この2頭目も♂であった。

 
2頭目のカラスアゲハ♂(B)の羽化(2024.5.12, pm 22:49~5.13, am 7:51  30倍タイムラプスと通常撮影後編集)

 この時、羽化したカラスアゲハの周囲を這いまわったり、飛んだりしている1匹のハチがいることに気がついた。まだ飛ぶことのできないカラスアゲハを攻撃する心配があったため、これを追い払った。

 翅はすっかり伸びていたが、まだ乾くまでは大丈夫だろうと、撮影場所を離れてから戻ってみると、カラスアゲハはすでに飛び立っていて、ビデオ撮影画面から消えていた。

 締め切った室内のことで、すぐに見つけて捕らえ、そのまま前々日に羽化した個体を入れている大型のケージに移すことにした。

 この時、最後の1匹の蛹を確認しておこうと思い、よく見ると、内側の一部に数mmの穴があいていた。蛹の中は空洞である。


寄生バチが抜け出した穴があいているカラスアゲハの蛹(C: 2024.5.13 撮影)

 ここで、ようやく気がついたのであるが、先ほどのハチはカラスアゲハに寄生していたハチであった。成虫が羽化した後の他の2匹の蛹の色は褐色であるが、寄生バチが抜け出した後に残っているこの蛹の色は、緑色が残っていて、何とも生々しい感じがする。

 思い返してみると、この3匹目の蛹は、キハダにいるところを見つけた幼虫を育てたものであった。先の2匹は卵を見つけたので、すぐに室内に取り込んで育ててきたが、こちらはキハダにいた時にすでに寄生バチに卵を産み付けられていたようである。そのせいか、この3匹目の幼虫は、終齢になった時の大きさも、従って蛹になってからの大きさも他の2匹に比べると一回り小さかった。


卵から育てた2匹(左、中央)と3齢幼虫を採集して育てた1匹(右)の写真(2023.10.17 撮影)

 これは、寄生バチの影響ではなかったかと、今になってみると思える。それにしても、孵化してからわずかの間にすでに寄生バチに卵を産み付けられ、将来の運命も決まっていたことになり、自然界の厳しさを思わせる出来事であった。

 一方、キハダに産み付けられた卵から室内で孵化・成長し、蛹になり、この春無事羽化することができた2頭については、100%の羽化率であり、改めて、人の手が加わることで、羽化の確率が飛躍的に伸びることを実感する結果であった。

 羽化した2頭の♂のカラスアゲハは、揃って元気に飛び立っていった。この後、この2頭とペアとなった♀が庭のキハダやコクサギに産卵に来てくれることを期待したい。また更に夏にはクサギの花も咲くので、今回の2頭の次の世代の個体が吸蜜に来たり、傍らのキハダに今年も産卵してくれるところを今から楽しみにしている。そして、できることならミヤマカラスアゲハを連れてきてもらいたいと願うのである。

羽化して飛び立っていったカラスアゲハ♂ A(2024.5.14 撮影)

羽化して飛び立っていったカラスアゲハ♂ B(2024.5.14 撮影)


 

 
 


 

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