ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

卯内原ダム

2023-12-06 17:00:55 | 北海道
2023年10月22日 卯内原ダム
 
卯内原ダムは左岸が北海道網走市卯内原、右岸が同市越歳の卯内原川本流にある灌漑目的のロックフィルダムです。
網走市街西方の西網走地区では圃場と未墾地が混在するほか水利に乏しく、生産性向上のため大規模な土地改良が求められていました。
こういった状況を改善するため、1981年(昭和56年)に北海道開発局により国営畑地帯総合土地改良パイロット事業(畑総)西網走地区が着手され、その灌漑用水源として2000年(平成12年)に竣工したのが卯内原ダムです。
完成後は網走市が管理を受託し、当初約3100ヘクタール、現在は2855ヘクタールの畑地に灌漑用水を供給しています。
事業全体も2005年(平成17年)に完了し、圃場整備・灌漑施設・農道の整備などにより営農の大規模化・効率化がはかられました。
 
道道591号から卯内原川沿いを約6キロ南下すると卯内原ダムに到着、左岸ダムサイトに駐車スペースが設けられています。
ダムサイトの事業説明板。
なお、ダム下への管理道路は進入禁止です。

 
天端は車両通行禁止、ただし『徒歩での見学は可能』と書かれています。

 
上流面はロック材で護岸。
陰のため見づらい写真になってしまいました。
対岸に横越流式洪水吐と取水設備・艇庫とインクラインがあります。

 
右岸の管理事務所
日曜早朝のため職員は不在。
常駐しているかどうかは不明です。
実はここに水利使用標識があったのですが写真を撮り忘れました。

 
右手は横越流式洪水吐、左は取水設備と艇庫・インクライン。


ダム下
左は放流設備。
灌漑用水は卯内原川に放流し下流で取水します。

 
総貯水容量430万立米。
畑地灌漑のため年間を通じ水利権が配分され冬場も水は抜かれません。
ダム周辺はトドマツの植林で林業も盛んなようです。


堤体は堤高40.5メートル、堤頂長355メートル
北海道のロックフィルダムらしく凍上防止のため芝が張られています。

 
左岸の横越流式洪水吐。

 
なんと、洪水吐の中でシカが死んでいました。
首がおかしな方に曲がっているので、飛び越えようとして失敗し落下したようです。
合掌!

 
左岸の取水設備
表層取水設備ですがちょっと見たことのないタイプ。

 
(追記)
卯内原ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により台風等の襲来に備え事前放流を行う予備放流容量が配分されました。

0159 卯内原ダム(2021)
左岸 北海道網走市卯内原
右岸     同市越歳
卯内原川水系卯内原川
40.5メートル
355メートル
4300千㎥/4000千㎥
網走市
2000年
◎治水協定が締結されたダム