ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

古梅ダム

2023-12-04 17:00:19 | 北海道
2023年10月21日 古梅ダム
 
古梅ダムは左岸が北海道網走郡美幌町古梅、右岸が同町日並の一級河川網走川水系石切川にある灌漑目的のロックフィルダムです。
オホーツク総合振興局管内の女満別町(現大空町)と美幌町にわたる美女地区では、冷涼な気候と夏場の少雨の下で非効率な畑作営農を余儀なくされ、生産性向上のため抜本的な農業水利支援が求められていました。
こういった状況を改善するため、1972年(昭和47年)に北海道開発局により国営かんがい排水事業女満別地区が着手され、その灌漑用水源として1996年(平成8年)に竣工したのが古梅ダムです。
完成後は女満別町、現在は大空町と美幌町が共同で管理を受託し、約3150ヘクタールの畑地に灌漑用水を供給しています。
事業の完成により美女地区では営農の効率化・集約化がはかられ北海道有数の小麦・馬鈴薯・てんさい産地となっています。

美幌町古梅の国道243号線から南東に約4キロ超、車で15分ほどで古梅ダムに到着します。
途中にゲートがありますが、これは害獣防除用のため開閉して通ることができます。
開けたら必ず閉めましょう!


まずはダム下へ
下流からその全貌を見ることはできません。

 
河原に下りると洪水吐斜水路と正対できます。
副ダム下流には洗堀防止のブロック工が敷かれています。

 
左岸ダムサイトまで車で入れます。
堤高48メートル、堤頂長215.9メートル
北海道のロックフィルダムらしく凍上防止のため芝が張られています。

 
天端は車止めがあり徒歩のみ開放。

 
ダムサイトの事業説明板。


左岸に展望台がありダムを俯瞰できます。

 
展望台にある竣工記念碑。


左岸ダムサイトの水利使用標識。
畑地灌漑のため年間を通して水利権が配分されています。

 
立派な管理事務所
訪問したのは土曜日ですが、職員が駐在しています。

 
管理事務所裏手にはインクラインと取水塔があります。
傾きかけた日差しに照らされ赤が鮮やか!

 
上流面はコンクリートで護岸。

 
天端からダム下を望む
右手に洪水吐斜水路、中央の建屋は河川維持放流設備
林の奥に調圧水槽やポンプ室があります。
受益農地へはここから専用の幹線水路で送水されます。

 
総貯水容量は350万立米
北海道の農業用ダムとしては小規模な方です。
水利権は年間を通して配分されていますが、10月~4月までの取水量は毎秒0.045立米に留まるため、貯水位もそれに応じて下げられています。

 
右岸の横越流式洪水吐。

0122 古梅ダム(2019)
左岸 北海道網走郡美幌町古梅
右岸        同町日並
網走川水系石切川
48ートル
215.9メートル
3500千㎥/3230千㎥
大空町・美幌町
1996年