ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

民安ダム

2023-12-11 17:00:09 | 北海道
2023年10月23日 民安ダム

民安ダムは富里ダムは左岸が北海道天塩郡天塩町キトウシュナイ、右岸が同町更岸のサラキタナイ川水系サラキシ14号川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
天塩沿岸地区では日本海沿岸の平坦地とそれに続く丘陵地で広く酪農が展開されていますが、脆弱な飼料生産や排水能力の欠如、糞尿処理の手間などにより生産性の低い営農を余儀なくされていました。
これを受け1988年(昭和63年)に北海道開発局により国営畑かんがい排水事業天塩沿岸地区が着手され、その灌漑用水源として2001年(平成13年)に竣工したのが民安ダムです。
運用開始後は天塩町が管理を受託し約4000ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
事業全体も2005年(平成17年)に完了し、灌漑用水路・排水路が整備され、営農の集約化、合理化が実現しましたが、酪農については乳価の下落という大きな逆風が吹いているのも実情です。
一方2010年(平成22年)に始まった桜の植樹を契機に、農村景観保全が進められるとともにダム周辺は広く開放されています。

天塩町中心部から南に約10キロ、車で20分ほどで民安ダムに到着します。
堤高24メートル、堤頂長260.5メートルの北海道らしい横長堤体。
超広角レンズでもフレームに収まりません。


左岸ダム下の放流設備
灌漑用水はすべて専用水路での供給となり、こちらは河川維持や水位低下目的で使われます。


右岸の洪水吐


右岸から
このアングルでようやく堤体全体がフレームに収まります。
北海道では凍上対策のためロックフィルでも芝が張られていることが多く、見た目のアースとロックの区別が難しいのですが、こちらは正真正銘の均一フィルのアース堤体。


洪水吐斜水路と減勢工
ダム周辺はきれいに整備されています。


横越流式洪水吐と管理事務所。
職員の常駐はないようです。


洪水吐と上流面
上流面はロック材で護岸。
左奥の建屋は斜樋兼艇庫になります。


農業用ダムでおなじみの事業説明板。


ダムの下流には延々と牧草地が広がり、その先に日本海が望める素晴らしいロケーション。
『海が見えるダム』認定!!
ただ液肥化した家畜の糞尿を牧草地に散布するため、家畜の糞尿臭が漂うのが玉に瑕。


ダム下の建屋
手前は2枚目写真の放流設備
奥は揚水機場で、灌漑用水はすべてここから専用水路で供給されます。


貯水池は総貯水容量200万立米
北海道の農業用ダムとしては小規模。
畑地灌漑となるため冬場でも水を抜くことはありません。


天端は車両通行可能。


上流面はロック材で護岸
これ見ただけじゃアースかロックかわかりません。


左岸の建屋
艇庫と取水設備を兼ねています。


水利使用標識
年間を通して水利権が配分されています。


ダム周辺はきれいに整備され天端からの景観も素晴らしいダムです。
ただ糞尿臭が常時漂っており、個人的にはせっかくのロケーションも今一つというのが偽らざる印象。

0182 民安ダム(2026)
左岸 北海道天塩郡天塩町キトウシュナイ
右岸        同町更岸
サラキタナイ川水系サラキシ14号川
24メートル
260.5メートル
2000千㎥/1800千㎥
天塩町
2001年