ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

筑後大堰

2017-10-10 12:02:31 | 福岡県
2017年9月21日 筑後大堰
 
筑後大堰は筑後川河口から約23キロ上流地点の左岸が福岡県久留米市安武町武島、右岸が佐賀県三養基郡みやき町江口にある水資源機構が管理運用する多目的可動堰です。
筑後川は流路延長143キロ、流域面積2860平方キロを誇る九州最大の大河で、古くから流域の水源となってきた一方、筑紫次郎と呼ばれ利根川、吉野川とともに日本の三大暴れ川の一つとされ流域に壊滅的な洪水被害をもたらしてきました。
戦後の復興から高度成長期に入り福岡をはじめとした中核都市での人口急増による上水道用水需要ひっ迫や大牟田・鳥栖での工業用水の需要拡大をうけ建設省は筑後川からの導水を模索する一方、農林省(現農水省)も筑後川を水源とする国営筑後川土地改良事業を企図していました。
1964年(昭和39年)に筑後川水系水資源開発基本計画(フルプラン)が採択され、筑後川では水資源開発公団(現水資源機構)による総合的な河川開発が進められることになります。
筑後大堰は、筑後川の洪水調節および水位の安定と塩害防止、農水省による筑後川下流用水事業への灌漑用水の供給、福岡地区水道企業団及び福岡県南広域水道・佐賀県基山町・鳥栖市上水道・佐賀東部水道企業団への上水道用水の供給を目的として1984年(昭和59年)に竣工しました。
筑後大堰の堤高は6.4メートルで河川法上のダムの要件である15メートルを満たしていませんが、水資源公団法(現水資源機構法)に基づく多目的ダムとして建設されたため、法律上もダムとして分類されダム便覧にも正式掲載されています。 
 
福岡導水事業の概要(水資源機構HPより)
 
筑後川下流用水事業の概要(水資源機構HPより)
 
左岸久留米側上流から・・・
ゲート操作室に『筑後大せき』と書かれています。
 
左岸支流金丸川水門
筑後川の水位上昇による金丸川への逆流を防ぎます。
 
左岸河川敷には九州北部豪雨(平成29年7月豪雨)で流下した大量の流木が積み上げられています
ここで乾燥させたのち処理を行うようです。
 
右手の水路は金丸川
左奥でゴミの引き揚げ作業が行われています。
 
船でごみを引き寄せたのち重機で引き揚げます。
 
左岸の魚道。
 
魚道の隣に閘門があります。
 
上流の眺め
奥は久留米市中心部
いまだに大量に残るごみと流木、7月豪雨のごみに新たに台風18号のごみが加わりました。
 
天端は国道264号と県道144号を結ぶ車道です。
 
ゲートは制水ゲート3門、調節ゲート2門で構成。
これは制水ゲート。
 
右岸はリバーサイドパークとして整備され運動場やゴルフ場になっています。
 
暴れ川筑紫次郎の下流を支える筑後大堰です。
訪問時は九州北部豪雨の大量のごみが残る中、新たに台風18号のごみが加わり、終わりのないゴミ処理が続いていました。
筑後大堰がこれら流木やごみを捕捉することで、有明海の環境は維持される効果は絶大です。
職員及び関係者の皆様ご苦労様です。
 
2434 筑後大堰(1141)
左岸 福岡県久留米市安武町武島
右岸 佐賀県三養基郡みやき町江口
筑後川水系筑後川
FNAW
MB
6.4メートル
501.6メートル
5500千㎥/930千㎥
水資源機構
1984年


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