四十にして惑わず…１７

隠し事は中々上手いかないものでした。 長原部長が
電話に気を取られているうちに…河田部長は夢中で金沢さんの手を取っていました。
二人は手に手を取って走ります♪(映画のシーンみたいです) 「あれれ？」長原部長が気がついたときすでに二人の姿は人混みに紛れていました。
「おかしいなぁ…」
俺は酔っぱらっちまったんかなぁ…
「今確かに河田さんと金沢さんがここにいたはずだけど…」
目を擦りますが、二人の姿はありません…
目の前の四条通りは観光客でごった返しています…
「夢見ていたのかな…」首を傾げますがわかりません。
その時です！「おう、ここにいたのか!!」
はぐれていたらしい三人が現れました。
「どうしたんだよ」
佐川本部長が呆然とする長原部長に手を掛けていました。
「いや～変なものを見ちゃったんですよ」
口をとがらかして訴えます(笑)
「何々…」長原部長の話を聞いて高辻役員や佐川本部長は笑い出しました♪
「な、なんですか…人の話を笑ったりして(怒)」
「いやいや…♪」
笑いを堪えることもせずに佐川本部長は言います。
「そりゃあ、長原ちゃん！飲み足りないんだよ♪」
「そうそう、幻を見るくらいだから確かに飲み足りないなぁ…」高辻役員も腹を抱えていらっしゃいます。
「ホントに見たんだから…」
「下手な言い訳はすぐバレるよ♪」
「でも…」
「さあさあ、それよりお前のおごりだっよたなぁ…次は♪」
佐川本部長はもう逃がさないよと長原部長の腕を捕りました。
「た、助けて!!」
「往生際の悪い奴だなぁ(笑)」高辻役員もまだ笑いながらタバコをくわえています。
「佐川、嘘つきは鴨川に沈めてしまえ♪」
「うわ～助けて～」
「大体次は私に任せてください、なんて言いながら逃げるんだから…」
どうやら長原部長は佐川本部長や高辻役員に奢(おご)ると言いながら逃げ出して捕まった様子でした。
「そうそう、下手な嘘は直ぐにばれるんだぜ(笑) 」
親友の佐藤部長も呆れた顔でした。
「さあさ！きれいどころに案内して貰おうぜ(笑)」
佐川本部長は長原部長の腕を掴んで引っ張り出しました。
「離して～」
「ダメだぞ、お前又逃げようとするからなぁ♪」
「もうちょっと上手い嘘をつけば信用してやったがなぁ」三人に取り押さえられおまけに河田部長の話しさえまともに訊いてもらえません(笑)
「もうわかりましたよ…」ふて腐れる長原部長♪
腹を抱えて笑い転げる三人…

その頃 河田部長と金沢さんはほうほうの体(てい)で逃げ切っていました。
「ここまで来たらもう大丈夫だな…」
息を弾ませて後方をみやります♪
「部長足速いですね♪「ハハ♪逃げ足だけは速いからね♪」
「私足吊りそうだったわ!!」
「大丈夫？」
「ええ…何とか(苦笑)」「しかしあんなところに長原がいてビックリだね!!」
「ホント、私もビックリしました～」
「隙見て逃げたけど長原の奴消えたから驚いているだろうなぁ」 「今ごろ目を白黒させているんじゃあないですか(笑)」二人は顔を見合わせて笑いました。