まっしゅ★たわごと

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ショスタコーヴィチ好きという病

2007年11月17日 23時08分04秒 | 音楽

ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクト2007」の11月11日のプログラムはななんと交響曲第10番・交響曲第13番「バービ・ヤール」というダブルシンフォニーであった。通常、この2曲が一度の演奏会に続けざまに演奏されることはない。有り得ないと言っても過言ではないはず。こんな酔狂な企画を遂行するのは、ショスタコーヴィチを嬉しげに踊りながら指揮をする井上道義氏以外考えられない。



いやあ、良かった!何が良かったかって?



途中の20分の休憩が終わりかけの頃に、突如、井上道義氏がステージに現れて、すっとぼけた口調でこう切り出したのである。「今、この第一列目に座っている皆さんは、好き好んでこの席に座っているわけでありますが・・・」ここで、場内は爆笑の渦に包まれる。そう!そして、皆、好き好んでここに集まってきているのである。そして、氏は続けた。要約するとこうである。



次の交響曲第13番は全楽章にロシア語の合唱と独唱があるので、ステージ両脇に電光字幕版が置いてあるのだが、ステージの配置上、どうしても最前列の人は字幕が見えないようになっている。だから、どうぞ、空いている席が有れば移動していただいて結構です。後ろでも上階席にでも自由に移動してください。それから、前半を下階で聴いていた人は、どうぞ2階に上がって頂いてけっこうです。このホールの上階席は音がストレートに伝わりますから面白い響きの音楽を聴くことが出来ます。



私は、最後の一言を聴いた瞬間、勝手にカラダが立ち上がり上階へ向かって歩き出した。おそらく同じ思いであろう老若男女たちが大勢、日比谷公会堂の狭くて急なホワイエの階段を我先にと駆け上がって行ったのである。



そんな、コンサートもまた初めての経験である。しかも、この「席の移動」であるが、指揮者の井上道義氏が直々に奨励し、「何かあったら私が全部責任を取りますから!」とまで言い切ったのである。



な、なんと!!


確かに、上階席の方が「パァーン!!」と音が全く響かないままに耳に届くので、間違えたら間違えたままの音が「キュピーィン!」とかいって諸に聴こえてしまう恐ろしいホールである。



演奏会後にmixiを通じて「ショスタコ好き」の同士の方々と夕御飯をご一緒させていただく貴重な機会を得た。ショスタコ好きの私が言うのも何だが、世の中のショスタコ好きというものは、皆、本家ショスタコ氏のように気難しげな態度で、二重言語を駆使して、周囲の人間を雲に巻き、そんな日常に独りホクソ笑んでいる人たちなんだろうという相当身勝手なイメージを抱いていたのだが、それはただの杞憂に過ぎず、私の妄想は彼等にお会いしたその一瞬に溶解してしまった。


いたって、フツーのひとたちだ・・・。


怪しげな爆音の炸裂する会場で至福の笑みを浮かべ(さらに踏み込んで証言するならば、観客の一部はエクスタシーさえ感じていたかもしれない)ていた同士たちは、フツー過ぎるほど社会的適合性という衣服をまとっていたのである。表装はフツーだけど、酒が入ってからの会話は凄かった。誰それの全集版の第何番のアレがどうだとか、こうだとか・・・誰々指揮の第何番のF♯(ファのシャープ)の音がどうだとか、こうだとか・・・やっぱ濃い会話やね。



告知が直前だったので、私を含めて3人だけでの会合であったが、三人寄れば何とやらで大変楽しい時間を過ごすことが出来た。初めて聴いたのが交響曲第4番であるという方と、第四番を好きになるまでに10年かかった私と、他のどのクラシックを試してもしっくりせず、行きついた先がショスタコーヴィチだったという方と・・・初めてなのに、こんなに分かり合える会話が出来るのには驚いた。



しかし、更に驚くべきことに・・・



この三人、実は昨年の今の時期にサントリーホールで演奏された
ユーリ・テミルカーノフによる交響曲第13番「バービ・ヤール」のコンサートを聴きに来ているということである。世間が狭いというより、ショスタコーヴィチを聴くためのツールが少ないからであろう。知り合った某氏たちの言葉を借りれば「ネット以前は独りで悶々と聴いていたものがネットを通じて、こうやって健康的に語り合える機会を持てるようになったことは、非常に素晴らしい」のかなと思う。



そんな貴重な体験をしてしまった翌週末の今日、実家に帰った折に「敢えて実家に置いてきた」ショスタコーヴィチのCDが妙に懐かしくなり、幾つかあるうちの一部のCDを一緒に連れ帰って来てしまった。



★アシュケナージ指揮 ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
 ・交響曲第2番「十月革命に捧ぐ」
 ・交響詩「十月革命」



★ゲルギエフ指揮 キーロフ歌劇場管弦楽団
 ・交響曲第7番「レニングラード」



★コンドラシン指揮 モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団
 ・交響曲第11番「1905」
 ・交響曲第12番「1917」
 ・交響曲第13番「バービ・ヤール」


★ロジェストヴェンスキー指揮 ソビエト国立文化省交響楽団
 ・交響曲第11番「1905」


★ロジェストヴェンスキー指揮 ソビエト国立文化省交響楽団
 ・交響曲第12番「1917」



★ヤンソンス指揮 バイエルン放送交響楽団
 ・交響曲第13番「バービ・ヤール」



★ヤルヴィ指揮 エーテボリ交響楽団
 ・交響曲第15番
 ・交響詩「十月革命」



私の重い病はまた再発してしまったようである。。。_| ̄|○


もし良かったら、またショスっと→
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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
あわわわ (supikametti)
2007-11-21 23:38:35
感染しました。
朝起きる時にバービヤールを聴いてしまう病がまた。

バルシャイの全シンフォニーシリーズもおすすめです。
返信する
あわわわ (supikametti)
2007-11-21 23:38:36
感染しました。
朝起きる時にバービヤールを聴いてしまう病がまた。

バルシャイの全シンフォニーシリーズもおすすめです。
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Unknown (まっしゅ)
2007-11-22 23:22:42
当日お会いしたお二方も「誰それの全集」の
どの曲がいいとか話をされてました。

あいにく私は「全集」を勇み良く(≠潔く)
購入するほど金銭的余裕は無いので、
もっていないのだけど、supikamettiさんも
「全集」とやらをお持ちなのですか?
返信する
Unknown (まっしゅ)
2007-11-22 23:22:43
当日お会いしたお二方も「誰それの全集」の
どの曲がいいとか話をされてました。

あいにく私は「全集」を勇み良く(≠潔く)
購入するほど金銭的余裕は無いので、
もっていないのだけど、supikamettiさんも
「全集」とやらをお持ちなのですか?
返信する
Unknown (supikametti)
2007-11-23 10:43:49
うう、私はバルシャイは全曲集を持ってます...... これはお友達からの誕生日プレゼントで(セールになっていた、というメッセージ付き)私自身には金銭的余裕なんてもちろんないのですけれども。
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バルでシャイ (まっしゅ)
2007-11-23 20:37:38
バルシャイという名前の響きにとても惹かれます。
日本語には無い音の列ですね。
シンバルをフォルッティシモで響かせようとして
失敗した時の音に似てませんか(笑)
そんなバカなことを考えている私は、いつも彼の
CDを買い損ねてしまいます。。。
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