学生時代に初めて聴いたこの曲は、以来ずっと私の手の届く範囲でコンサートが行われることを切望していたのであるが、なかなか催行されることは無かった。それもそのはずで、ショスタコーヴィチの一連のシンフォニーの中ではマイナーな部類に入り、しかも大管弦楽曲であるばかりではなく、バリトンのソロや男声合唱団まで動員しなければならない曲で、フツーに演奏しても集客は見込めないことは必至で、まともに考えるならばなかなか採算ベースにのせることの出来にくい演目なのである。
それが、今年のショスタコービチ生誕100年という節目に、ようやく演奏されたのは感慨深いものがある。この機会を逃せば、5年または10年の単位で、これまでと同じように演奏の機会を切望しながら生きていかなくてはならないと思ったので、思い切ってコレダケノタメに状況を試みたのである。
結果的には、この選択は正解だったかもしれない・・・。かなり良かった、ホント に・・・。
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<プログラム>
・リムスキー=コルサコフ:歌劇「見えざる町キーテジと聖女フェヴローニャの物語」序曲
・ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調
・ショスタコーヴィチ:交響曲第13番 変ロ短調 「バビ・ヤール」
演奏:サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団
指揮:ユーリ・テミルカーノフ
バリトン:セルゲイ・レイフェルクス
合唱:東京オペラシンガーズ
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リムスキー=コルサコフの序曲は初めて聴く曲ながらも、交響曲「アンタール」風の優雅な旋律を用いた楽曲で、聴いていて気持ちが良かった。あまり難しいパッセージも出てこないので、楽団員もラクに弾いていたし、観客も安心して聴いていた。ディナーで言うところの食前酒的な演奏だった。
続く、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲、この曲は聴き処が一体どこなのか個人的には全く理解の出来ない曲で、まさに我慢比べ大会でマジ寝しかけたくらい退屈な曲である。周りの聴衆は熱心に聴いていたようだけど・・・。確かに第三楽章後半のカデンツァは壮絶だし、終楽章のフィナーレもこれ以上無いというくらいの最速猛ダッシュで突き進むのだけれども、どうもこの曲は苦手。演奏後は拍手喝采でソリストが何度もカーテンコールを受けたほどの大盛況だったみたい。私にはメインディっシュの前の重すぎる前菜でしかなかった。
ここで20分の休憩。気を取り直してメインに臨む。
サントリーホールのホームページには「歌詞対訳字幕付き」みたいな感じでタイトルが書かれていたので「???」と思っていたが、会場に入るとその意味がわかった。なんと舞台の両袖に縦型の巨大な電光掲示板が立てられていて、そこに歌詞が歌に呼応して表示されるのである。
購入したCDに、ちゃんと歌詞対訳は付いているので、どういう内容の楽曲なのかはわかっているつもりである。また、自宅でCDを聴くときは、たまにスコアブックを見ながら曲を追うのだけれど、スコアに載っている歌詞は全てロシア語なので、そのフレーズが歌のどこの部分なのかがわからない。今回のコンサートを体験することによって、「あのフレーズやあの展開は、この歌詞に呼応しているのか」ということがわかり楽しかった。
具体的に、この曲はどういう曲なのかを語りだすと、かなり長くなってしまうので今回は割愛させていただこう。音楽家の吉松隆氏のブログにわかりやすく解説がなされているので勝手にリンクしてみるので参照していただきたい。
http://yoshim.cocolog-nifty.com/office/2006/10/post_deb3.html
デザート(アンコール)はなかったけど、この曲を浄化できる曲は有り得ないので、アンコールが無かったことにも満足した私。ピアニッシモの持続音で静かに終わるという楽曲の構成上、拍手はヴァイオリン協奏曲ほど盛り上がらなかったが、私個人の中では、かなり盛り上がっていたものである。
しかし、重いプログラムだなあ...(笑)
13番を生で聴いた事あるんですか!
私の周りではsupikamettiさんが初めて
です。すごーい、すごーい!