まっしゅ★たわごと

街歩き、建築、音楽、フランス、それに写真の話題を少々

迷徒労濃霧【摩耶山探訪11回目】

2012年03月20日 00時27分38秒 | 六甲・まや



久々に・・と言ってもたった一カ月しかたってないが、しばらくのぼっていないように思ったので、ケーブルで摩耶山上を目指してみた。相変わらず今日も乗客は私一人だけで貸切である。乗務員が2人乗ってきて運転台のところで、ずっとペチャクチャおしゃべり中である。何か笑いながら「んもう!信じられへん!!」とか言っていたなあ。





虹の駅に到着。今日、摩耶山上を目指したのにはちょっと理由があって、この前の週末に街から掬星台を見上げたとき掬星台のところだけが雲に覆われていて、その雲に突入する感覚を、この空中散歩で味わってみたいなあと思ったからである。ちなみに写真中段の右寄りに糸くずのようなものが見えていて拡大すると巨大な回虫のうようにフレーム内に肥大してくるので困ったものである。今回の写真のうちのおよそ半数にこの見苦しい化け物が徘徊しているのが至極残念である。白い濃霧を撮っているのでなおさら気になるところなのである。





虹の駅から掬星台を見上げる。見事に山頂付近のみがスッポリと雲に覆われている。





雲が濃くなるのはロープウェイの鉄塔がその境界になっているように見える。境界というよりは結界と呼ぶべきなのだろうか・・・





ちょうど結界を超えた向こう側が真っ白で何も見えない乗降になっている。





結界から降りてきたロープウェイとすれ違う。





鉄塔に近づくにつれて辺りが白んじてくる。





何だか幽玄な雰囲気が漂ってくる。ロープウェイも乗客は私一人。しかも乗務員もいないので本当に無音の中にロープウェイの中に一人っきりなのである。





そしてだんだんとグレー色が強くなってくる。
昼間とは思えない暗さの広がるファンタジー。





摩耶山上に到着。この真っ白っプリがたまらなく快感!





オテル・ド・摩耶を経由して天上寺に向かう。明日は摩耶詣祭である。バス道沿いにその案内の赤いノボリが立てかけられている。





天上寺。なかなかの荘厳さが滲み出ている。何となく密教っぽい。個人的には京極夏彦作「鉄鼠の檻(てっそのおり)」に出てくる「明慧寺」のイメージはこんな感じである。





少し欲が出てきたので、このまま穂高湖までバス道沿いを歩いていくことにした。折しも今日は「MAYA AMORE ― マヤ アモーレ ― 」の開催日である。





チラシには『ロープウェイで空中散歩』とか『穂高湖でカヌー』とか書かれているけど、彼らは果たして楽しめたのだろうか。。。





奥へ進めば進みゆくほど霧が濃くなってきて、その幻想さが素晴らしく心地良くて、面白いからズンズン歩き続けてみる。





普段の枯れ木までもがその遠近感に対し絶妙なグラデーションを持って私の目を楽しませてくれるのである。





やがて、一層霧が深くなったかと思うと、その霧たちが一気に私のボディに絡みつく幻想に捕われた。しかし、それは幻想ではなく微細な霧雨で有り、次第にそれらは質量を持った小雨に変質し、気がつけば我が身を濡らす程のものになっていた。進むも霧、戻るも霧・・・これが潮時かもと思いなおし、アゴニー坂の出口付近で穂高湖行きをあえなく断念する。もう少しで穂高湖だったが戻る勇気もまた必要であると思った。





観光地であるはずの摩耶山上であるが、この季節のこの空の下では誰一人歩いてないし、冬季ダイヤで2時間に一本程度しか走らないバスにも人っ子一人客がいない状況である。そんな私も年間パスで夢散歩を使っているんで摩耶ケーブル&ロープウェイの赤字は増すばかりである。





着た時よりも帰る時の方がずっとずっと暗くなっているよな気がした。まだ日没には早いのだが・・・はて?





下山行のロープウェイは登山帰りのオジサンと二人っきり。まるで地獄に向かうかのようなロープにぶら下がってゴンドラは進み始める。





対向するゴンドラは地獄からのものか?それとも現世からのものか?





例の鉄塔を超えたあたりから、山の木々が見え始める。





雲と空の結界が見え隠れする。もうすぐ下界に降り立つのだという興奮が芽生え始める。





虹の駅のシルエットが露わになると、そのすぐ背後には市街地が整然と表出してくる。山の幻想美とは真逆の整然美が静かに佇んでいる。





飛行機の窓から見るよりもゆっくりとゆっくりと変わる風景にしばしの間見とれてみる。それでも300mの高低差をわずか5~6分で渡り切ってしまうのだから、そう悠長に楽しめるほどの時間がないのも事実である。だからこそ息を忍ばせてじっくりと、この眼に焼きつけておきたいのである。





虹の駅に到着。往路よりも遥かに雲が低くなっていることがわかる。虹の駅より先は雲間に隠れる体験は望めず、ただ淡々とケーブルを降りゆくのみである。





摩耶ケーブル駅に降り立ち、空を見上げると俄かに青空が雲間から見えていて、山の天気と街の天気がここまで違うものなのかと思い知らされる。何がともあれ、昨日の街の気温は最高が15度前後であったから山も比較的暖かくて、写真で見るとすごく寒そうなのであるが、実際はそれほど寒くなかったのが救いであった。

明日は、摩耶詣祭。
あ~した♪天気にな~れ♪


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