今回のツアーの目玉の一つに古城ホテルに2連泊というのがあった。ただ、ツアー参加者のいろいろな人の話を聴いていると、ツアー会社の目玉設定とツアー参加者の参加動機は必ずしも一致しないのが実態だなあとも思った。なぜならば、このツアーへの参加の動機は様々で、最終日のパリでの買い物をメインに考えている方も居られるし、モンサンミシェルだけで選んだ人も居られるし、はたまた本当は何カ月も前に旅行するつもりが、例の火山の影響で渡欧できず今回のツアーに何となしに参加された方だっていらっしゃるのだ。そんな中、我々の選択基準の2番目にこの古城ホテルが行程に入っていたのである。
この建物の紹介を旅行会社のパンフレットから引用してみよう。
シャトー・ド・シセーと言って、15世紀シャルル7世の時代に築かれた由緒あるお城。ド・ゴール将軍が戦略会議に使ったことでも知られています。エントランスへ続くアーチや石畳には当時の歴史の変遷が刻まれているかのようです。・・・とある。
シャルル7世には特にこれと言った思い入れはないが、ド・ゴール将軍と言えば、あのフランスの英雄シャルル・ド・ゴールのことである。シャルル・ド・ゴール空港、シャルル・ド・ゴール広場、他に原子力空母の名前にも冠せられているし、セーヌ川にかかる橋の名前にもなっているらしい。だから、こう何とも言えないくらいに期待で身体と心がムズムズしていたのである。
中庭も気品が漂っていていい感じなのだ・・・インターネットで旅行前にシセー城のことを検索していると、このお城の客室は実に奇妙な部屋が多いらしく、しかもその奇妙さは現代の日本人の感覚からいえば「なんじゃこりゃ?」と言わせんばかりのヘンテコリンな部屋らしいのだ。だからそういう意味では「何か気品に満ち溢れた瀟洒な部屋」などは微塵も期待していなかったのであるが、我々の身にはそれよりももっと残念な想定外なことが降りかかってきたのである。。。
これが我々のあてがわれた部屋である。一見するとフツーである。
一見すると・・・なのだが、この写真を見た後でもういちど冒頭2枚目の写真を見ていただきたい。我々の部屋は、「あのシャルル・ド・ゴール将軍が作戦会議に使ったあの古城・・・」ではなく、その下にある付属棟のような馬屋(厩)だったのである。正確には馬屋だったところを人が宿泊できるように改装したところだったのである。確かに、キリスト教徒に言わせれば馬屋は神聖なところかもしれないが、高い金払ってその代償がこれとは驚きである。さっそく、添乗員さんに苦情を申し立てたものの空き部屋は無く、部屋を変えることはできないと回答されたが、以後、何かと気を使って頂き、まあこういうことも有りなのかなとも思ってみたりもするのだ。
朝食の一部。田舎であるからなのかどうか不明だが、素材の一つ一つが自然を噛みしめているようでどれも美味しい。特にヨーグルトなどのニュー製品が激美味かった!
ディナーもとても美味しく頂くことができた。古城は平面的にはロの字型の回廊になっているが給仕の人たちは回廊の中を通らず厨房と食堂の最短距離となる中庭を通って往来しているのである。なんというかすごくのどかな光景にも見える。
今回の旅行で一つ嬉しいことがあった。それは以前はあまり食べることができなかった臭みのあるチーズを楽しめるようになったことである。純粋なブルーチーズは未だダメだけど、それに近い感じの臭みのあるチーズはフツーに美味しく胃の中に納めることができた。人間ってつくづく不思議な生き物だなあって思う。成長の過程で以前は不味くて口に入れることができなかったものが、時間の経過とともに美味しく感じられてしまうのである。そのメカニズムは果たして慣れなのか、または免疫なのかは不明。
何だかんだ言ったところで、ここでの2連泊はそれなりにいろいろと愉しめたので良かったと思う。良かった記念にタロー君と記念撮影をしてみた。パシャ!!