地毛証明書

　朝日新聞が一面で都立高校の地毛証明書についての記事を掲載した。「地毛証明書」というものには問題もあるかもしれない。しかし、このように学校の対応を批判するような記事はいかがなものかと感じる。冒頭を引用する。

「東京の都立高校の約６割が、生徒が髪の毛を染めたりパーマをかけたりしていないか、生まれつきの髪かを見分けるため、一部の生徒から入学時に『地毛証明書』を提出させていることがわかった。勘違いによる指導を防ぐ狙いがあるが、裏付けのために幼児期の写真を出させる例もあり、専門家から疑問視する声もある。」

　この問題の本質は学校が生活指導を任されているという現実にある。頭髪が自由だという社会的な風潮があるならば学校は楽である。教員だっていやな思いをして頭髪指導なんかしたくない。しかし、頭髪が乱れていてたり、服装がだらしなかったりすると、地域から、あるいは一部の保護者からの苦情がくる。学校の指導が悪いということになるのである。だから頭髪指導をする。しかし地毛がそもそも赤かったり、パーマをかけたようになっている場合もある。その場合のトラブルをさけるために「地毛証明書」が必要なのであろう。確かに一部には行き過ぎの学校もあるのであろうが、生徒数が多い学校の場合、生徒や保護者との信頼関係を壊さないためにも「地毛証明書」の存在は理解できなくもないのである。

　朝日新聞が本来批判しなければいけないのは、学校に生活指導や部活動指導など学習以外のあらゆるものを押し付けている現在の日本の教育の在り方に対してであろう。社会のオピニオンリーダーたる新聞が問題の本質もわからず、弱い者いじめをしている。社会をよい方向に導こうという気概もない。「批判ばかりの朝日新聞」と言われてもしょうがあるまい。

　つい先日も学校の教員の多忙についての記事が出たばかりだ。教員の本来の仕事がしっかりとできるように、政治もマスコミも真剣に教育の現状を見つめてほしい。そして冷静で前向きな改革の方向を示し、社会をよい方向に導いてほしい。