とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

野矢茂樹氏の小論文研修会の講演に行ってきました

2018-09-14 08:06:14 | 高校国語改革
 仙台で行われた第一学習者の小論文指導研修会の講演で野矢茂樹さんの講演が行われました。共感すると同時に学ぶところのたくさんある講演でした。

 野矢茂樹さんは哲学者であり、今年の3月まで東大の教授でしたが、現在は大正大学の教授をなさっています。『論理トレーニング』や『大人のための国語ゼミ』などの著作があり、私も勉強させてもらっています。国語教師としては野矢さんを哲学者の印象よりも、基礎的な国語力の充実を提唱なさっている方という印象のほうが強くある方です。

 講演は「これから求められる国語力・論理力」と題されていました。野矢さんは国語力として3つのキーワードをあげます。

「つなげる」
「まとめる」
「たずねる」

の3つです。

 「つなげる」は文をつなげる力です。具体的には接続詞を的確に使える力です。接続詞はそんなに簡単なものではありません。基礎的なところからトレーニングしていくことが大切だと教えていただきました。

 「まとめる」は要約の力です。文章の中の幹か枝葉かを見極める力のトレーニングが大切です。

 「たずねる」は質問力です。質問力は、読む力、議論する力、考える力を育てます。

 以上の3つの力は国語の基礎力であり、そのような基礎的な日本語力を育てることが大切だと野矢さんは語ります。

 私は全面的に野矢さんの意見に賛同します。現在の高校の国語教育がゆがんだものになっているのはあきらかです。もっと基礎的な「言語技術」を大切にすべきなのです。

 その上で1つ申し上げておきます。野矢さんは新テストの記述式問題を高く評価していました。確かにモデル問題は私もいい問題だと思っています。しかし、去年の11月に行われたプレテストの問題はひどいものであったと思っています。問題の質が悪いのです。さらにマーク式の問題に関しては時間内に解答するのはとても無理なような量を出してきたので、国語力を的確に判断できるようなものにはなっていません。私は国語教育が正しい方向に向かうためにも、大学入試問題が適切なものになるように議論を深めてほしいと思っています。その中核メンバーのひとりとして野矢茂樹さんにも協力してほしいと思っています。
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