とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

別役実さん

2020-03-11 06:32:17 | 社会
 別役実さんがお亡くなりになった。別役さんは私に大きな影響を与えてくれた。もちろん個人的な知り合いではないが、私にとっての恩人である。

 子供のころからというと意外に思う方もいるかもしれない。別役さんの戯曲はほとんどが子供向けではないからだ。しかし私がこどもころ、NHKで「おかあさんといっしょ」という子供番組があった。(今調べてみたら今でもやっているんだ。)その番組で週に一度「おはなしこんにちは」というコーナーがあった。そこで別役さんの童話が語られていたのだ。子供番組なのに不条理な物語である。その物語が私に大きな影響を与えた。その童話は『淋しいおさかな』という一冊の本になった。少し大きくなってから市の図書館でそれを見つけた。童話集の作者である別役実という名前を初めて知り、ファンになった。

 東京の大学に行き、演劇を見るようになった。そもそもは別役さんの芝居が見たかったからである。今は劇場はみんな小ぎれいになっているが、当時はちょっと怖い場所だった。劇場に行くのは勇気のいることだった。下北沢の本多劇場の杮落としで別役さんの『そして誰もいなくなった』を見た記憶もある。別役さんの芝居から初めて、たくさんの芝居をみるようになった。

 教員採用試験を受けるために山形県に列車で移動しているとき『ベケットといじめ』という本を読んだ。面接で最近読んだ本を聞かれ、その本のことを語った。あの時のこともいまだに覚えている。

 教員になってから、授業でも演劇部でも別役さんの戯曲や童話を使った。うまくいったこと、うまくいかなかったこと、ひとつひとつが今の財産になっている。

 別役さんは私の一つの柱を形成してくれた人だと私自身は思っている。ご冥福をお祈りします。

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