とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

劇評『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』

2017-11-20 12:34:20 | 演劇
2017年11月19日(日)世田谷パブリックシアター
作:トム・ストッパード
翻訳・演出:小川絵梨子
出演:生田斗真、菅田将暉
林遣都、半海一晃、安西慎太郎、田川隼嗣、林田航平、本多遼、章平、長友郁真、
松澤一之、立石涼子、小野武彦

 トム・ストッパードの出世作『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』を見ました。難しい作品で、途中で気が遠くなってしまったのですが、後半は人間存在の不条理を描く深いテーマに引き込まれました。

 この作品の謎解き的なことはすぐにはできそうもありません。脚本を何度か読み、できれば何度か舞台をみることによって次第に見えてくることはあるとは思います。しかし、演劇は一期一会、見た感想をとにかく書いておくことも必要かと思い書き残しておきます。

 ローゼンクランツとギルデンスターンは『ハムレット』に登場する端役です。言動がおかしくなったハムレットを監視するために国王に呼ばれた学友で、最後はハムレットに騙されてイングランドで殺されるという役です。その二人がなぜここに存在するのか、なぜ死を受け入れなければいけないのかという問題に直面します。演劇の世界の話でありながら、実は人間存在そのものの問題となっています。普通の人間もなぜ生きているのかわからないまま生き、そしてそれなのに死の恐怖、苦しみを受け入れなけれななりません。なんという不条理でしょう。この舞台はその不条理を見るものに突き付けます。

 生田斗真は上手に情けない役を演じています。上手な人だと感じます。菅田将暉は個性的な役者です。しかしセリフはしっかりと伝わってきます。演出家が使ってみたくなる魅力があります。ふたりとも本格的な舞台役者ではないのですが、だからこそ演劇的な世界との差異が生まれ、構造がはっきりしているように感じます。他の役者はみな訓練されたすばらしい役者さんです。

 テレビでもやってくれるのではないかと思いますので、もう一度見て、もっと深く考えてみたいと思います。
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