東京地検特捜部に逮捕された東京五輪・パラリンピック組織委員会の元理事高橋治之容疑者は無罪を主張しているという。AOKIホールディングス側から資金を受領したが、五輪に絡む便宜は図っていないと言っているのだ。受け取ったお金はコンサルタント料であり、賄賂ではないというのが高橋氏の理屈だ。こんなひどい論理が通るはずがない。
もし彼の論理が通るとすれば、オリンピックの理事はやりたい放題だ。利権構造の中で常識が見えなくなったのだ。
そもそもこういう男をつくったのは電通という組織だ。電通は経済界との太いパイプがある。持ちつ持たれつの関係だ。そして電通が政界とも結びつくから、巨大利権が生まれる。さらに電通とマスコミは持ちつ持たれつの関係だから、マスコミは電通に忖度する。こうして巨大利権コンツェルンが形成される。安倍政権のこれまでにないほど強い権力を支えたのはそこだったのではないだろうか。
今回の収賄事件は、これほど大きな事件であるのにも関わらず、ワイドショーはあまり取り上げない。旧統一教会には忖度する必要ないから必要以上に報道する。しかし高橋容疑者の問題については深くつっこもうとしない。マスコミは高橋氏の問題を旧統一教会の陰に隠してしまう。高橋氏の事件の本質は、このような日本の権力構造にある。
今回の事件は高橋氏だけの問題ではあるまい。高橋氏を許してきた政治や経済界、そしてスポーツ界の大きな癒着体質の問題である。いい加減にすませてはいけない。ぜひとも高橋氏を国会に呼び、この問題について証言してもらいたい。