とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

映画『ファーザー』を見ました。

2021-06-15 21:26:03 | 映画
 アンソニー・ホプキンスが今年アカデミー主演男優賞を受賞した映画『ファーザー』を見ました。意図的に視点を混乱させ、見ている観客の認知が混乱してしまう映画でした。狙いが見事に成功しています。

監督 フロリアン・ゼレール
出演 アンソニー・ホプキンス、オリビア・コールマン、マーク・ゲイティス、イモージェン・プーツ

(あらすじ)
ロンドンで独り暮らしを送るアンソニーは認知症による言動のために、娘のアンが手配した介護人を拒否してしまう。しかしアンは新しい恋人とパリで暮らすことになり、アンソニーはアンに日常的に面倒を見てもらうことはできなくなる。アンソニーの認知機能は混乱し、アンは苦しみの中、ある決断をする。

 私自身、老化による記憶の低下はひどくなる一方だ。人の名前はもうほとんどとっさに出なくなった。さまざまなものが覚えていられない。認知症なのではないかという恐怖と闘っている。

 アンソニーの視点による映像は、私自身の混乱のように感じられ、アンソニーの気持ちが痛いほど伝わってくる。この映画は映画でありながら映画ではない。バーチャルな体験をさせられているような作品なのだ。

 その意味で本当に怖い映画だった。そしてこの怖さは悲しくて切ないものだった。

 すばらしい映画でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする