映画評『THE GUILTY／ギルティ』

　今年の春の話題作『ギルティ』を見た。事件の意外性に驚き、そして主人公の心の変化に心を打たれる名作だ。

　警察の緊急通報の受信室の話である。その中のメンバーに、訳ありの刑事がひとりいる。その男が主人花押である。彼はなんらかの事情で一時的にその仕事に回されている。彼は常にいら立っている。そんな中、彼の受けた電話は、誘拐された女性からの通報だった。この事件を解決するために主人公はあらゆる手段を講じる。ただし電話を使ってである。そしてこの事件は意外な結末を迎える。

　事件の意外性もさることながら、主人公の心の動きに注目させられる作品である。映画を見ているものはいつの間にか主人公に感情移入し、彼の心となって事件の結末に心動かされる。そして自身のかつての過ちに気づき、その罪に苦しむことになる。

　カメラは決して建物のフロアーからは外にでない。しかし想像力は広がり、登場しない人物たちの姿が見えてくる。上質のエンターテイメント作品であり、上質の心理サスペンスである。