とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

これからの国語教育「言葉の気づき」③ 日本語の音声

2017-02-21 08:15:30 | 高校国語改革
【日本語の気づき1 音声編1 「鼻濁音」】
 言うまでもないとは思いますが、鼻濁音というのは「がぎぐげご」の子音が〔g〕ではなく、〔ŋ〕になるものです。語中の「がぎぐげご」は基本的には鼻濁音になります。ただし、はほとんど鼻濁音のない方言地域もあります。東北方言は特に鼻濁音が根強くのこっていた地域でした。

 最近の若い人は鼻濁音を発音できなくなっていると聞きます。山形県ですら、実際に国語の授業で鼻濁音を発音させても、きちんと発音できる人はほとんどいません。これは意識しすぎてできないという理由もあるのでしょうが、実際の会話の中でも鼻濁音を発しない人は多くいます。

 鼻濁音を「か゚、き゚、く゚、け゚、こ゚」と表記する場合がありますが、ここでもそれを使わせていただきます。

(実践例) 
 ①「鼻濁音の『か゚、き゚、く゚、け゚、こ゚』を言ってみましょう。」
(なかなか言えないので盛り上がります。)

 ②「鼻濁音と普通の濁音に注意して、後について声を出してください。」
  「まんか゚、がっこう」、「か゚ が」
  「やき゚、ぎんこう」、「き゚ ぎ」
  「やんく゚、グリコ」、「け゚、ぐ」
  「はけ゚、げんき」、「け゚、げ」
  「ごこ゚、ごぜん」、「こ゚、ご」
   (濁音と鼻濁音との違いを意識させます。)

③「鼻濁音の子音[ŋ]は英語でよく使っていますが、それはどういうときですか。」
(鼻濁音は英語の「ing」の発音だと気づかせます。)

【日本語の気づき2 音声編2 日本語の「ん」】
(実践例)
 次の「ん」について発音の違いで分類しなさい。
 ・しんぶんし
 ・しんかんせん
 ・しんがくじっせき
 ・さんま
 ・さんかくかんけい
 ・さんぎいんぎいん

 日本語の「ん」は3種類に分けられます。[n]と[m]と[ŋ]です。(音声学的にはもっとあるのかもしれませんが、あまりに厳密にすると私自身がわかりません。)これらはどのようなときに出てくるのかを考えさせると、探求心に火が付きます。

 もちろん答えは次の通りです。

・[m]は、[b、p、m、]の前。
・[ŋ]は鼻濁音「か゚、き゚、く゚、け゚、こ゚」の前。
・[n]はそれ以外。

 ここで実は[n]が[n]と[N]の2種類あることにも気づかせると大きな発見になります。英語のnは[n]ですが、日本語の「ん」は普通は[N]です。ただし[t、d、n]などの舌先が硬口蓋の前につくときは[n]になります。

 [N]は口蓋垂(つまり、のごちんこ)のところで空気を止めて鼻に空気を送ります。
 [n]は舌先を固口蓋につけて空気を止めて、鼻に空気を送ります。

【日本語の気づき3 音声編3 日本語の濁音と清音】
(実践例)
「日本語には『清音』と『濁音』があります。このふたつは何が違うのですか。」
「英語には『清音』と『濁音』はありますか。」

 日本語には清音と濁音があります。「清音」と「濁音」は、その子音が無声音か有声音かの違いによります。例えば「か」の[k]は無声音で[g]は有声音です。日本語では、清音と濁音は関連している音として認識しています。

 それに対して英語では清音と濁音という認識はありません。たとえば[k]と[g]、[t]と[d]はまったく別の音であり、その関連はないのです。

【日本語の気づき4 音声編4 英語の「l」と「r」と日本語のラ行音】
(実践例)
「英語の「l」と「r」を発音してください。」
「日本語のラ行音はどっちですか。」

 「l」と「r」の発音については中学校で勉強してきています。しかし、英語の[l]や[r]は持続することが可能な音ですが、日本語のラ行音ははじく音であるため持続できません。
だから、英語と日本語の発音の違いを実感できます。


 以上のような音声についての授業は、生徒が自分で声を出して確かめるので、楽しく進めることができます。
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