まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

Q.初対面の人と無理なく自分らしく接するにはどうすればいいのですか?

2016-09-23 20:08:00 | 幸せの倫理学
昨日の続きの技術と倫理の関係に関する深遠な考察は先に取っておくことにして、
今日はまったく毛色の違う質問を取り上げることにします。
初対面の人と無理なく自分らしく接するにはどうすればいいのかという、
倫理学とは何の関係もない質問にお答えしてみることにしましょう。
こうした問いに対する本格的・学問的な答えを求めるとするならば、心理学や、
そこから発した人間関係論、コミュニケーション論等の先生に聞いてみたほうがいいと思います。
いちおう 「何でも倫理学」 を標榜している以上、私もお答えしてみますが、
どうせ素人の意見ですので、眉につばを付けながら軽く聞き流してください。

まず私は、こういう質問をいただいたこと自体に驚きました。
質問者の方は、初対面の人と無理なく自分らしく接したいと思っていらっしゃるのですね。
元来、内気で激しい人見知りの私は、初対面の人と無理なく自分らしく接するなんていうことが、
人間にとって可能であるとも必要であるとも考えたことがなかったので、
どうすればそうなれるかなんて、そういう問い自体が成り立つと思っていませんでした。
どうなんでしょう?
今どきの若い人たちはみんな、初対面の人と無理なく自分らしく接したいなんて思っているんですか?
あるいは、身近にそういう人がいて、それがあこがれの対象になっていたりするんですか?

うーん、たしかにそう言われて思い返してみると、
私のまわりにもそれっぽい人がいたかもしれません。
初対面の人相手でどうだったのかは定かではありませんが、
とにかくコミュニケーション能力に長けていて社交性抜群という人はたまに存在します。
自分が内気で人見知りだからといって、人類みんながそうだと決めつけてしまってはいけませんね。
人間にはいろいろなタイプの人がいるのです。

第1回の授業のときには関連する質問が出なかったのでご紹介しませんでしたが、
ぜひ皆さんにオススメしたいのは 『さあ、才能 (じぶん) に目覚めよう』 という本です。



この本はアメリカの調査会社が各界で活躍している人々に大量インタビューを行って、
その結果、社会で活躍するために必要な力 (強み=ストレングス) を34個に分類し、
さらにはストレングス・ファインダーというシステムを開発して、
ネット上でたくさんの質問に答えていくことによって、
自分の強みのうちのトップ5を診断してもらえるというものです。
これによって自分の強みを知ることができるというのも画期的なんですが、
それよりも面白いのは人間ひとりひとり、
それぞれの強みってまったく違うんだなということがわかることです。
福島大学の学生さんたちクラス全員にこれをやってもらって一覧表にまとめてみたりすると、
本当にひとりひとりみんなバラバラです。
ごくまれに似たような強みの組み合わせがランクインしている人たちがいたとしても、
その順位は異なっていて、何が一番の強みかというのは人それぞれだったりするのです。

さて、その本の中で紹介されている強みのひとつに 「社交性」 というのがあるのですが、
これをトップ5のうちに持っている人というのは、私とはまったく異なる行動を取ります。
例えば、駅や街中の雑踏でちょっと離れた向こうのほうに知り合いを見つけたとして、
まだ相手はこちらに気がついていなかったら、あなたはどうしますか?
ぼくだったら、相手がこちらに向かって近づいてきているのであれば、
相手が気がついた時点で挨拶したり、よっぽど親しければ立ち話くらいするかもしれませんが、
もしも相手も自分と同じ方向に向かって歩いていて、
こちらから声をかけないかぎり相手に気づかれずにすむという状況であるならば、
間違いなく歩くスピードを緩めたり、行く方向をちょっと変えたりして気づかなかったふりをします。
私の場合 「社交性」 はものすご〜く下位のほうにありますので、
ムダな接触はできるかぎり避けたいのですね。

ところが 「社交性」 が上位にランクインしている人というのはまったく違います。
知り合いを見つけると自分からその人のところへ小走っていって声をかけるのです。
相当離れていてかなりの距離があっても小走ります。
そして、本当にここで会えてよかったというふうに挨拶を交わし、親し気にいろいろ話し始めるのです。
その人は、私と一緒に話しながら歩いていても、遠くに誰かを見つけると突然駆け出していき、
その人をつかまえて話し始めます。
そして、2人が話しているところへ私がゆるゆると近づいていくと、
これも間違いなく、私をその人に、その人を私に紹介してくれます。
私なんて知り合い相手ですらできればあまり話したくなくて、初対面の人なんて絶対ムリなのに、
社交性人間は、ここで2人を引き合わせることができて本当によかったというふうに、
会心の笑みを浮かべるのです。
たぶん本人はこういう機会があればぜひいろいろな人に紹介してもらって、
いろいろな人と知り合いになりたいと思っているんでしょうね。
で、どんな初対面の人相手でも、お互いの共通の話題をみつけたり、
それがなくとも、相手が持っている自分のまったく知らない世界について、
目をキラキラ輝かせて耳を傾けたりすることができるんでしょう。
こういう人はたぶん初対面の人とも無理なく自分らしく接することができるのでしょう。

さて、質問者の方にお聞きします。
あなたはこういう人になりたいのですか?
こういう社交性人間に憧れますか?
もしもそうだとしたら、たぶんあなたはこういう人にはなれないでしょう。
先ほどご紹介した 『さあ、才能に目覚めよう』 という本によれば、
人間の強みというのは生まれと環境によって幼い頃にほぼ固まってしまい、
後から弱い部分をなんとか補おうと努力して、若干の改善が見られたとしても、
それが強みに転ずることはないということだそうです。
この本の面白いのは、人は自分がすでにもっている強みだけをガンガン伸ばせばいい、
苦手な部分は自分で補おうと思わずに、それが得意な人に任せてしまえばいい、
と言い切っているところです。
たぶん初対面の人と無理なく自分らしく接することができるのは、
あの 「社交性」 という強みをもともと幼い頃からもっているような人だけでしょう。
そうでない一般の私たちは、そんな高みを目指していくら努力してみたとしても、
ある程度、初対面の人とそこそこにやっていけるというくらいにはなれたとしても、
無理なく自分らしくいられるというところまでは到底達することはできないだろうと思うのです。

とはいえ、これだけの回答では今回の質問者に対して酷ですね。
ですので、私もあなたと同じ、「社交性」 を上位の強みとしてもっていない人間として、
そういう人間が初対面の人となんとか付き合ってやっていくためにはどうしたらいいかについて、
あくまでも自分の経験にもとづくだけなので他の方にもうまく当てはまるかどうかはわかりませんが、
いちおうアドバイスとして次のようにお答えしておきたいと思います。

A.私たち一般庶民は初対面の人と無理なく自分らしく接することなんてできません。
  初対面の人と無理なく自分らしく接するようなになれなくてもいいんだ、
  初対面の人相手の場合は何かしら無理しなきゃいけないし、
  最初っから自分らしく振る舞うことなんてできるわけないんだとあきらめてしまうと、
  けっこう気が楽になって、初対面の人ともあんまり無理することなく、
  ある程度自分らしさも発揮しながら接することができるようになりますよ。

私はこんなふうに考え方を転換することによって、
少しは楽に初対面の人とも接することができるようになりました。
まあだまされたと思って、一度試してみてください。
それと、ぜひストレングス・ファインダーはやってみてほしいと思います。


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