がん(骨肉腫)闘病記

抗がん剤治療、放射線治療、人工関節置換手術、MRSA感染、身体障害者となっての生活の記録を残します。

足利事件、読売新聞報道を検証…DNA一致発表疑わず

2009年06月27日 | Weblog
2009年06月27日 22時42分記載
URL http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090626-OYT1T01176.htm  



「逮捕から17年半ぶりに、菅家利和さん(62)の再審開始が決定した「足利事件」。当時の読売新聞は、事件をどう報じたのか、今につながる教訓は何か。

 取材に携わった10人以上の記者から聞き取り、一連の紙面を検証した。

 ◆指紋なみ捜査革命◆

 「幼女殺害 容疑者浮かぶ」。読売新聞は1991年12月1日朝刊1面で、足利事件の容疑者の取り調べが間近に迫ったことを伝えた。

 菅家さんが逮捕されたのは、翌2日午前1時すぎ。同日朝刊1面は「元保育園運転手を逮捕」との見出しで、菅家さんがDNA鑑定の結果を突きつけられて自供したことなどを報じた。

 DNA鑑定については、1日朝刊の1面記事で「ほぼ同一人物の遺伝子」と説明、2日朝刊の社会面では「捜査革命と言われるほど画期的な技術」と解説した。

 この中で、「科学的な証明度がどれくらいあるかが問題」とする土本武司・筑波大名誉教授(当時は教授)の談話を紹介。国内のDNA鑑定の生みの親とされる石山いく夫(お)・帝京大名誉教授(同)が「鑑定だけを決め手にするのではなく、他の物証の支えとして利用する方がいいのではないか」と指摘したことも書いた。(いくは日の下に立)

 警察庁が89年に導入したばかりのDNA鑑定は「MCT118型検査法」と呼ばれ、証拠として提出された事件で、当時まだ判決は出ていなかった。「新しい捜査手法を、専門家はどう見ているか、読者に伝えるべきだと考えた」と、当時、宇都宮支局で栃木県警を担当していた記者は話した。

 しかし、記事の見出しでは「『指紋』なみ捜査革命」とプラス評価だけを強調したため、精度は100%ではないという事実を十分印象付けられなかった。

 DNA鑑定の精度に関しては「足利市周辺でも該当者が数十人はいる」という指摘もできたはずだった。

 「DNAが一致したという警察の発表で、捜査に問題はないと思いこんでしまったことは否定できない」

 東京本社で記事のチェックにあたっていた記者の一人はそう振り返る。

 ◆「少女趣味」など予断を招く記述◆

 逮捕を伝える2日朝刊社会面では、「ロリコン趣味の45歳」の見出しで、菅家さんが週末を過ごしていた借家について「少女を扱ったアダルトビデオやポルノ雑誌があるといい、少女趣味を満たすアジトになったらしい」との記事を掲載した。

 記事は、県警担当の記者が菅家さん逮捕の約1週間前、県警幹部から取材をした情報がもとになっていた。別の複数の捜査幹部からも「逮捕できるだけの直接証拠ではないが、状況証拠の一つだ」との感触を得ていたことから、菅家さんの逮捕直後に記事にした。

 しかし、県警の捜索で少女を扱ったアダルトビデオなどは発見されなかった。このため、翌3日の朝刊社会面の記事で「ロリコン趣味を思わせる内容のものはなかった」と修正したが、菅家さんについての予断や偏見を読者に与えた可能性はある。

 栃木県版でも、菅家さんの生活ぶりなどを報じた。

 「おとなしく、きちょうめん」「酒はあまり飲まず、趣味らしいものはなかったようだ」。記事中の関係者の談話などに、菅家さんを犯人と決めつけるような表現はなかったが、菅家さんが週末を過ごしていた借家については「一人ビデオを楽しむなどの“孤独癖”が浮き彫りになっている」と表現した部分があった。

 ◆再鑑定への動き節目ごとに取材◆

 菅家さんは93年7月、1審・宇都宮地裁で無期懲役判決を受け、東京高裁は96年5月に控訴を棄却した。

 読売新聞では、この二つの記事で、弁護側がDNA鑑定に疑問があると主張していることに触れ、97年10月には、弁護団が独自鑑定でDNAが一致しなかったとして最高裁に再鑑定を求めたことも報道した。

 2008年10月には、再審請求の即時抗告審で、東京高裁がDNA鑑定の再鑑定を認める可能性が出てきたと報じるなど、機会がある度に、逮捕当時のDNA鑑定に問題があるとの弁護側の指摘を記事にしている。

          ◇

 読売新聞が昨年3月から運用を始めた「事件・事故 取材報道指針」では、容疑者や被告が真犯人であるという予断や偏見を読者に抱かせる「犯人視報道」を戒めている。そのために、情報の出所をできる限り明示し、容疑者や被告の言い分を可能な限り記事に盛り込む「対等報道」に努めている。

 足利事件を巡る一連の報道では、導入されたばかりのDNA鑑定への過大評価があった。日々進化する科学捜査に対する客観的かつ冷静な目を持つ。事件で得た教訓を重く受け止め、今後の取材・報道に生かしていきたい。(社会部次長 星春海 地方部次長 谷口透)

(2009年6月27日07時29分 読売新聞)」

こんな小学生の反省文みたいなもん書いたって、菅家さんの17年は帰ってこないんだよ。


言うだけ虚しいけど、報道機関の役割は権力機関の監視。裁判所・検察庁・警察庁には国民を殺す権限が与えられている。その認識が余りに薄すぎる。

間違っても無辜の国民が命を奪われないように、人生を棒に振らないように、権力を監視することが、絶対に揺るがせにしてはいけない報道機関の第一の使命。その使命が果たせずに、記者クラブで仲良しごっこやってるなら、新聞記者辞めろ。


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