がん(骨肉腫)闘病記

抗がん剤治療、放射線治療、人工関節置換手術、MRSA感染、身体障害者となっての生活の記録を残します。

(下)孤独に悩む親 つなぐ役目も

2009年03月12日 | Weblog
2009年03月12日 20時19分記載

URL http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/saizensen/20090311-OYT8T00671.htm



「岐路に立つ 児童デイサービス



 障害児を対象にした国主体の学齢期の「児童デイサービス」が、市町村主体の「日中一時支援」事業へ移行されようとしている。これに対し関係団体からの反対もあり、厚生労働省の検討会は「新たな枠組み」での実施を提案し、デイサービスとしての存続の道を残した。障害児の放課後活動を守るために、大きな前進となるのだろうか。(梅崎正直 写真も)



スポーツクラブ母体



 「さあ、今度はクマになるよ」。いろいろな動物になって体を動かしているうちに、子どもたちのほおが紅潮していく。

 札幌市の「ジュン・ハート」は2007年5月に開設された。母体はスポーツクラブで、「障害のある子にも体操を」という親たちの要望をかなえるため、児童デイサービスとして独立。利用者50人の6割は小学生で、自閉症の子が多い。「目で見て分かりやすく」「想像が膨らむように」と、障害に応じたカリキュラムを模索してきた。「子どもたちが喜怒哀楽を表現できるようになってきた」と村重欣延(よしのぶ)代表は言う。

 障害者自立支援法施行による報酬カットにより、多くの児童デイサービス事業は経営難に陥っている。その背景には、学齢期の子どものデイサービスについて、現状では「療育」よりも、保護者の就労などのための「預かり」的な役割が大きいという厚労省の判断がある。同省は、このデイサービスを、「預かり」の性格が強く、一般的に報酬単価が低い市町村主体の「日中一時支援事業」へ移行させようとしている。

 これに対して、障害をもつ学齢期の子どもたちの放課後支援をする団体で構成する「全国放課後連」などが国会請願等の運動を展開。厚労省の「障害児支援の見直しに関する検討会」の報告書には「放課後型のデイサービスとして、新たな枠組み」で実施することを検討するべきだと盛り込まれた。

 ただし、それは「子どもの発達に必要な訓練や指導など療育的な事業を実施するもの」との条件付きだった。ジュン・ハートのように身体の発達を目的としたもの、音楽・芸術活動や学習を主体とした活動は、それに当てはまるのだろう。



街で買い物



 神奈川県海老名市の児童デイサービス「おおきな木」。小学生から高校生までが利用しているが、中高生部門は同市独自事業として実施されている。現在、利用者は10人。「5年前、小学生の親たちで事業を立ち上げるとき、市から『中高生もやりませんか』と打診されたのです」と鍛冶幸子理事長。

 街へ積極的に出て行くのが特徴だ。500円玉を持ち、買い物をする。最初は戸惑っていた地域の人たちも、今では顔なじみになった。社会で生きる力をつけるためには、地域の支えが欠かせない。こうした取り組みも「療育的」な一例かもしれない。

 一方、新たな枠組みができたとしても、「療育的でないもの」は、市町村の「日中一時支援」事業への移行が原則。しかし滋賀大学の黒田学准教授(障害児教育)は、「何が療育的か、という判断は難しい。障害の内容や程度によっても違う。重度障害で横になっている状態の子どもでも、集団の中で自然と笑顔が出たり、人とのかかわりが生まれたりする。単純な線引きはできない」という。国が提起した「放課後型デイサービス」。障害児の放課後には一筋の光だが、議論の行方は注視していく必要がありそうだ。



暮らしの要



 太平洋の波音が聞こえそうな場所に立つ小さな施設。朝9時半になると、続々と車が集まってくる。和歌山県串本町で4年前に開設された児童デイサービス「フレンズ」は月に1度、保護者のティーパーティーを開いている。

 この日の話題は「病院」。「手術なんて、どうやったら納得させられるんかな」「うちは心電図もできへんかった」。山がちな地域で、障害児の親たちは点在し、孤立していた。それが児童デイサービスを中心にして、初めてつながることができた。苫谷(とまたに)優子代表は「まだ孤独に悩んでいる親がたくさんいると思う。仲間がいることを知ってほしい」。

 様々な形で、児童デイサービスが障害児の暮らしの要となっている例がある。国や自治体は、そのことも評価する必要があるだろう。(2009年3月11日 読売新聞)」

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