がん(骨肉腫)闘病記

抗がん剤治療、放射線治療、人工関節置換手術、MRSA感染、身体障害者となっての生活の記録を残します。

生活保護費への老齢・母子加算廃止は合憲…京都地裁

2009年12月15日 | Weblog
2009年12月14日 20時39分33秒記載

URL http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091214-OYT1T00759.htm?from=main5  



「生活保護費に上乗せされる「老齢加算」と「母子加算」を廃止したのは、憲法が保障する生存権の侵害だとして、京都府内の生活保護受給者4人が京都、城陽両市を相手取り、廃止の取り消しを求めた訴訟の判決が14日、京都地裁であった。

 滝華(たきはな)聡之裁判長は「加算廃止は厚生労働相の裁量権の範囲内で、違憲や違法性はない」として請求を棄却した。原告側は控訴した。

 政権交代後、母子加算については、今月から来年3月末までの期間限定で復活した。復活後の司法判断は初めて。

 訴訟では、厚労相の決定を受けた2005年度末の老齢加算廃止、08年度末の母子加算廃止が、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を営む権利(生存権)を侵害するかが最大の争点になった。判決で滝華裁判長は「国の財政事情や政策的判断、専門家らの意見などを根拠に、厚労相が加算廃止を検討した手法は合理的。最低限度の生活を下回る結果をもたらしているとは言えない」と判断した。

 京都市は「妥当な判決。今後も適切な生活保護制度の運営に努める」とのコメントを出した。(2009年12月14日19時06分 読売新聞)」



社会権については、広い立法裁量・行政裁量を認めるのが我が国司法の「伝統」なので、今回の判決は予想通り。おそらく日本中の裁判所(一審・控訴審・上告審を問わず)で同じ結論になると思う。



ただ、広い立法裁量・行政裁量が認められるということは、立法府にまともな人間さえ送り込めば、生存権侵害を避けられる。デモ等を積極的に行わない多くの国民は、そのことを意に留めて投票行動を採るしかない。



最後に、我が国には、生活保護受給者を攻撃する人間が結構いるので、生活保護受給者の実態を記しておく。



2009年7月現在、生活保護受給世帯数は約124万世帯。そのうち44.8%は高齢者世帯。22.9%は傷病者世帯。11.6%は障害者世帯。これだけでもう全体の79.3%。残り20.7%のうち、7.8%が母子世帯。12.9%がその他世帯である。そして、全世帯の平均年収が564万円である一方、母子世帯の平均年収は213万円である。(平均年収のデータは2005年のもの。)



生活保護受給者を攻撃する人間は、暴力団員による不正受給のようなケースが全てであるように、無知を原因として誤解している。確かに暴力団員による不正受給は存在するが、それは、生活保護制度や生活保護受給者の問題ではなく、「強きを助け、弱きをくじく」行政側の問題である。



重い病気になって、障害を抱えてみればわかるが、とても働くことは出来ない。生活保護受給者を攻撃する人間は、そのような人達に「死ね」と言いたいのだろうか。ブログ市長のように。



高齢の受給者に対しては、「貯金をしておけば良かっただろ」などと非難を浴びせるのかもしれないが、現時点での高齢者は、戦前に生まれ、先の大戦を経験し、焼け野原を必死の思いで生き延びて来た人達である。「貯金をしておけ」などと非難するのは、私に言わせれば、余りに非寛容である。生き抜くだけで精一杯だった人もいるだろう。

そんな非難を浴びせている暇があるなら、もっと充実した年金制度の構築について勉強でもしたらどうか。