私を悩ますカタカナ語のリストに「トラブル」を追加したい:
一昨日の「私を悩ますカタカナ語」の補完である。
“trouble”=「トラブル」:
解説)この単語はテレビを始めとしてあらゆる場面で重宝に使われている、多くの場合に「揉め事」か「諍い」の意味で。例えば「あの人は方々でトラブルを起こしていた」とか「AさんとBさんとの間には金銭トラブルがあった」とか「Cさんは何時でもDさんと言い合ってはトラブルを起こしていた」のような具合だ。
この使い方の他に顕著な現象としては、何か機械類に故障が生じると「エンジントラブル」か「バルブにトラブルが生じて」というように表現する例があるのだ。
と言うよりも、「トラブル」とは元はと言えば英単語の“trouble”なのだが、上記のように恰も万能選手のように、如何なる場面においても日本語の表現と漢字の熟語を押しのけて、あらゆる揉め事も故障も諍いも表現してしまっているのだ。
こういうカタカナ語が頻繁に出てくるので、私は正直なところ、自分が認識している“trouble”の解釈というか意味が間違えていたのかと不安になってしまった。そこで、先ず信頼に値すると思っている「英辞郎」で調べてみた。そこには「*[状況としての]困難、悩み、苦しみ。*悩みの種、苦しみの元凶、困難の原因。*骨折り、厄介、面倒」と出ている。揉め事も故障も言い争いもなかった。
では、Oxfordには何と出ているのかと言えば、“PROBLEM/WORRY“とあって“a problem, worry, difficulty, etc. or a situation causing this“とある。次はILLNESS/PAINである。カタカナ語の意味とはかけ離れているし、英辞郎とも何となく趣が違う気もする。機械の故障はその次の次にやっと出てくる。私はアメリカ人の間でもOxfordが最初に表示している意味で使われていたと認識している。どうしてカタカナ語ではあのよう意味に使われるようになったのが不思議だ。
尤も、カタカナ語にもなってしまっている「トラブルメーカー」は立派にtrouble makerという表現があるし、「トラブルシューター」にもtrouble shootingという英語の表現があるので紛らわしいと思う。また、「エンジントラブル」はengine failureと言うのだと思って使ってきた。だが、「トラブル」というカタカナ語が最早日本語の一部として通用しているようなので、排斥しようなどという大それた事まで考えていない。