新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

10月14日 その2 32年振りの円安で¥147に

2022-10-14 15:51:01 | コラム
円安が更に進んで¥147に達したとマスコミが悲観的に:

回顧談である。32年前とは1990年のことである。その頃はウエアーハウザーにとっての対日輸出の絶頂期で、アメリカの会社の中で対日輸出の金額がボーイング社に次いで第2位だったし、私の液体容器原紙事業部は我が国の市場における占有率が45%に達していて、断然たる第1位だった。私もお陰様で大変多忙となって、年間に6回も7回もアメリカ出張を繰り返していた。

その当時の為替レートが¥147だったとの報道だ。だが、幾ら思い出そうとしても、当時に「大変な円安だ」というような危機感はなかったのだ。当時の私は殆どの身の回りの生活必需品は¥140代の為替レートを有効活用して、国内で買うよりも遙かに経済的であるアメリカで買っていた。だが、仕事上の必需品であるスーツだけは国産だった。それは、日本人の中でも小柄な私に合うアメリカサイズ「エキストラ・ショート」には滅多に店頭に出ていることがなかったからだ。

現在のように何処かのエコノミストが「¥150も視野に入ってくる」と悲観的なコメントをされれば、FRBが更に金利の引き上げに打って出るとの観測があるので、日本経済は更に弱くなってしまうかのようなムードが漂ってくるのだ。32年も前の事ともなれば、記憶力を誇る流石の私にも、在職中の1990年に「円安」を嘆く声があったとはどうしても思い出せないのだ。

尤も、アメリカの会社では為替レートがどのように変動しようと、アメリカドルがアメリカドルである事は変わらないので、何ということはなかったのだ。但し、取引先の我が国の企業にとっては原材料費が円安のために高騰してしまうのは大事なので、輸入代行を勤めていた商社と共に、常に敏感に反応しておられ、その傾向を絶えず予測して対処しておられた。

当時でも、牛乳パックのように原材料である原紙を輸入に依存している加工業界では、為替変動分を乳業会社や流通業界向けの販売価格に転移することは容易に受け入れては貰えなかったので、紙器加工業界は常に苦戦を強いられて為替の変動には過敏にならざるを得なかった。

それだけではなく、我々アメリカの企業はコストが上昇すれば、当然のことでその分を遅滞することなく販売価格に転移しようとするので、我々にとっても日本市場向けの値上げ交渉は極めて難事業だった。その値上げ交渉の際に、当時の¥140代後半の為替レートが障害(今風に言えば「高いハードル」か)になっていた記憶が何故かないのだ。不思議な事だなどと考え込んでいる。矢張り、成長期と不況期との違いかなと思うのだ。


「リスキリング」って何の事

2022-10-14 08:56:33 | コラム
Re-skillingだった:

昨13日のPrime Newsには岸田文雄総理がご出演とは承知していたが、NPBのCSとやらの中継が先に始まっていたし、総理の後に日本大学危機管理学部の先崎教授が出られるとのことだったの、彼の意見と感想を聞けば良いかと勝手に決めて、総理の語りはごく一部だけで失礼した。印象ではマスクをしておられないこともあって表情もよく見えたし、時事の世論調査で30%を切ったと報じられていたにも拘わらず、非常に明るい表情だった。

つい先頃、総理が「リスキリング」とやらを持ち出されていたのは報道で知っていたが、不勉強な高齢者には「???」だったが、聞こえた音からは“reskilling“とでもなるのか程度にしか受け止めていなかった。総理の後に登場された先崎教授は総理が唱えておられる「リスキリング」が昇給に繋がり経済が好転するとの循環を目指しておられるのだと指摘されたので、漸く何の事かを知り得たのだった。

そこで、あらためてこの「リスキリングなるカタカナ語とは」を検索してみた。すると、日本能率協会のサイトに下記に引用するように解説が出ていた。お陰で2020年のダボス会議に出てきたことだと解った。後難を恐れずに言うが「またSDGsのような外来語か」なのだ。

>引用開始
リスキリングとは、技術革新やビジネスモデルの変化に対応するために、業務上で必要とされる新しい知識やスキルを学ぶことです。経済産業省はリスキリング(Re-skilling)を以下のように定義しています。

「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」

「リスキリング=DX教育」では必ずしもありませんが、近年では、特にDX化のための新たなスキルの習得や、仕事の進め方が大幅に変わるであろう職業につくためのスキル習得を指すことが増えています。

 また、リスキリングは、社会の要請により就業者のスキルを変質させるという意味において、学びを提供する企業側の視点が強い言葉ですが、学ぶ本人の主体性なしに成功はありません。そのため『獲得する/させる』と双方の視点からの表現が併記されています。
<引用終わる

そういう事があったのかと、時代に遅れた我と我が身の不勉強を少しばかり反省させられた。ザッとした感じを言えば「確かに良いことなのだろうが、現実に言わば旧来のスキルで仕事をしてきた人たちが動かしている経済というか実務を、未だ緒に就いているとも思えないDXで変えられるのかな」という素朴な疑問だった。それに何処の誰がどのように指導して「skillをアップさせる」ではなかった向上させ進歩させるのかなとも思った。

失礼を顧みずに言えば「矢張り、岸田文雄総理が言われることには相変わらず具体性がないのでは」なのだった。それでも、初めて「新資本主義」なるご方針の具体的(なのだろう)内容を聞くことができたとは受け止めた。だが、現実は未だ嘗てないような円安で景気も低迷しているのだ。その最中に新機軸の教育を施して行って景気回復というのは、間違っていたらご免なさいだが、一寸迂遠ではないのかなと、つい考えてしまうのだ。

そんな事を考えながら、10時半過ぎまでスワローズが猛烈な雨降りの中で2連勝するのを見ていた。30%割れの支持率と聞いて、これから「リスキリング」とは先手を取っているかのようだが、矢張り後手になってしまうのではないのかなと、不安になっていた。