日本シリーズ第1戦の観戦記:
矢張り冷静なる評論家としては、日本シリーズ第1戦の観戦の弁を述べておきたい。偽らざる所を言えば「スワローズの二連覇となる方が面白いだろうが、どちらが勝つかの予想はつかない、閃きが来ていない」のである。
1回の裏に現れたパシフィックリーグの投手4冠王の山本由伸の表情を一目見て「これは駄目ではないか」と閃いた。案の定、一球目を塩見に叩かれてレフト前ヒット。何となく「これで勝敗の行方が決まったのではないか」と感じた。山本由伸は優れた投手であるのは論を待たない。だが、私が気になっている事は「体の開きが早く手投げになっている」と見える点だ。「あれでは、打者に球の出所(リリースポイント)が見えてしまうのではないのか」と気になっていた。
昨夜の彼の不安に見えた表情からは「何か身体的か物理的な不安材料があるのか、または過度に緊張していて制御できていないのか」の何れかと見た。それでも不調が続く山田は三振に取れたが、村上宗隆にはストライクが入らず四球の後に、オスナに三塁線を破られて二失点。私はスワローズがこの得点を守れるとすれば、勝負あったかとすら感じていた。山本の不安げな自信がない表情は変わることなく、4回、4失点で自分から降りてしまった。
スワローズはまともな先発投手がいなくても優勝できたのが特徴だ。昨日の小川も決して良い出来ではなく、バッファローズに沢山ヒットを打たれていたし、押し出しの四球などと褒められた出来ではなかった。だが、何とか5回を2失点で投げきって、優れた救援投手陣に後事を託していた。中継ぎに良い投手がいるのはバッファローズも同じ事。皆が150km以上の速球投手だ。
結果的には解説の工藤公康が指摘していたように、スワローズの5得点のうちの3点はソロホームランでの流れで、全部を適時打で取れた訳ではない。本日の2戦目の先発が誰かは知らないが、バッファローズは宮城大弥だろうから、塩見やオスナをどうやって抑えるかに懸かってくるのではないか。私は村上宗隆が56本目を打つまでの不振から未だ立ち直れていないと見ている。もしかすると「3冠王」が重荷になって緊張し過ぎか、相手投手に手の内を読まれたかの何れではないか。
昨夜の二人の解説者、工藤公康と谷繁元信は良かったと思う。両者とも打者と投手の心理と駆け引きを読んで聞かせてくれたのが興味深かった。解説者はこうあって欲しいと思っている。今夜はテレ朝が中継するのだが、前田智徳が解説に登場と聞いて早々と、敬遠してNHKのBSで見ると決めた。前田智徳は恐らく全テレビ局が使う解説者の中で最悪と査定している。喋ることに中身がないし、その上に声も悪く何を言っているか聞き取りにくい。
スワローズとバッファローズの何れがこの日本シリーズを制するのかは未だ解らない。と言うか閃きが来ていない。だが、「頼りにしていたはずの山本由伸で第1戦を落としたバッファローズが、精神的に劣勢では」という気がする。