新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

安倍内閣の対アメリカ交渉に望みたいこと

2019-03-16 10:38:45 | コラム
トランプ大統領は何処まで我が国と中国を迫ってくるのだろうか:

トランプ政権は「対中国の貿易赤字削減」の公約を忠実に守られて、先ずは中国からの輸入品に高率の関税をかけて締め出そうという方向に舵を切られた。すると中国は早速対応策を講じてアメリカからの輸入品に同率の関税の賦課を開始したので、両大国間の一大貿易戦争が始まったのだった。目下この争いはトランプ大統領が3月1日までとした協議機関を延長したので、休戦状態にはある。だが、我が国の専門家の意見を待つまでもなく、この争いがある限り我が国の経済へのマイナスの影響が出てくることは否めないだろう。

アメリカの対中国の姿勢はこの貿易面に止まらず、5Gや安全保障問題もあって中国政府が支援するハイテク業界の大企業である「華為」(HUAWEI)に対する締め出し策が採られ、アメリカ連邦政府はヨーロッパの諸国にも同調を求めている。そして現実にはカナダで華為の幹部役員である孟氏を逮捕して、アメリカへの引き渡しを求めている。事がここまで来ると、中国は引き下がらない姿勢を見せて対抗するのは自然な成り行きであろうが、アメリカ対中国の貿易が不安定になって行くことは我が国にとってのみならず、全世界にとってもマイナスの影響をもたらすだろうと危惧するのだ。

そこで私が思い出すのがオバマ政権下でその経済面の力量に不安感ありとされていた2010年1月1日に、カリフォルニア州で辣腕の投資ファンド運営会社のCEOと語りあったことである。彼はプリンストン大学から銀行界に進まれた後に独立して、ファンド運営しの会社を設立して大成功し、今やアメリカ国内のみならず我が国にも東京、大阪、名古屋に支社を構えておられるのだ。

その凄腕のML氏は、私の質問に答えて「アメリカと中国の輸出入貿易が安定して継続できている限り、この両国の関係も経済も揺るがない。同時に日本経済も安定しているはずだ。故に、現時点のオバマ政権下でも、これら3ヶ国の景気は心配ない」と穏やかに断言した事である。現時点ではそのアメリカ対中国の間が揺らぎだしたと思われるが、意外にも先月まででは中国の対アメリカ輸出は減少していないのだ。故に、アメリカの対中国の貿易赤字も削減されてはいないのだ。それでは、対中国問題がどうあれ、トランプ大統領は我が国に対してでも強硬に出てくるとは十分予測できるではないか。

そこで想定できることは「トランプ大統領はライトハイザーUSTR代表に日本とのFTAの締結を急ぎ農産物から自動車の輸入制限を速やかに取り纏めてくることを命じる」だろう点である。私は既にこのような要求に対しては茂木担当大臣以下は「これを言うことで失うものはない」と「論争と対立を怖れない」精神で、臆することなく議論を戦わせて欲しいものだと望んでいると述べた。細川昌彦中部大学教授は通産相時代の経験で「ライトハイザー氏とはお友達になりたくない」と述懐された強硬派だそうだが、そうであれば茂木氏にも感情的にならずに強硬に話し合った頂きたいと願っている。一方的な要求に対しては譲るべきと気ではないのと思うから。