新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

1月22日 その2 卓球界の世代交代か低年齢層化か

2018-01-22 14:12:46 | コラム
張本智和の優勝に思う:

昨21日には何となく卓球全日本選手権の男子のシングルス決勝戦を見ていた。それが9連覇中の水谷隼(28歳)対張本智和(14歳)の対戦という点に一寸興味があったからだ。水谷隼は世界のランキングが最高で4位だったこともある我が国を代表する選手であるが、その水谷に張本が既に1度勝っているという実績もある点に関心があった。

張本はあの得点をする度に「朝礼」ではなかった「チョーレイ」と叫ぶところが特徴かも知れないが、何が何でも14歳であれほど臆するところなく誰にでも向かって行く姿勢には惹かれるものがあるし、両親が共に中国では名が通った卓球の選手であるにも関心があった。

私の得意の閃きという点では明らかに「張本の勝ち」と出ていた。また「そうだ、あの試合があったのだ」と気が付いてチャンネルを合わせると、偶々張本が連続して9ポイントを挙げて水谷を圧倒していたゲームだったし、ゲームカウントでも張本が2対1とリードしているところだった。そのゲームを張本が11対2で取ったところを見て「勝負あり」と見極めてチャンネルを変えた。

私はピンポンという競技は全く試みたことがないので、語るべき知識も材料の持ち合わせもないが、最近の我が国の選手たちの進境の著しさには感心するのみだ。あのラリーという激しい打ち合いでは「良くもまーあんな球を打ち返せるものだ」と感心するし、エッジボールにも反応してしまう反射神経の凄さなどには恐れ入っている。

しかも、張本の14歳が代表するように男女とも世界的な試合で怖めず臆せず打ち合ってみせる者たちは皆十代の少年少女である。水谷隼が9連勝してきたと言うが、それでは19歳から勝ち始めたのであって、張本の14歳は何とその5年前に全日本を制覇したのである。私はフィギュアスケートでは多くの十代の女子が活躍しているが、あの競技ではその女性として成長する前の若さが有利だと思っている。

だが、卓球ではこの張本以外にも十代の有力な女子選手が多い。福原愛は結婚・出産もあったが29歳で実質的に引退したかに見えるし、平野早矢香も30歳を超えて引退している。石川佳純は24歳だが十代を相手に苦戦しているように見える。張本も決勝戦で水谷と当たる前には多くの年長者を退けてきていた。と言うことは、卓球の世界では世代交代と言うべきか、低年齢層化とも言うべき事態が進行しつつあると思う。

この世界はこれまで多くの中国人に席巻されてきたが、私はそこには中国のように人口が多く、選手も多ければそこには所謂切磋琢磨があって、揉みに揉まれる間に強くなってきたのだと考えていた。我が国でも世界的に強い選手が増えて競技人口が増加すれば、全体的な水準が上がっていって、中国を脅かし追い抜く存在になっていくのではないかと思っている。

そこには今回の張本の勝利のような低年齢層化というか世代交代が進んでいく必要もあるかなと考えながら、水谷が為す術もなくゲームを落とすのを見ていた。頑張れ日本。


アメリカの新旧大統領についての正直な感想

2018-01-22 13:15:12 | コラム
本日で85歳を迎えて:

以下は昨年の1月21日に、本日が偶々私の誕生日だったこともあり、アメリカでトランプ大統領の就任に因んで新旧大統領について、当時どのように考えていたかを再録して見ようと思った次第。

少し内心忸怩たるものがあるオバマ前大統領の実績:
遂にアメリカの大統領が変わってしまった。往年の同僚のL氏は見ないと言っていた就任式のテレビ中継(録画?)も一寸は見た。トランプ大統領の就任演説も聴いたが、同時通訳がうるさかった。

良く考えるまでもなかったが、あれほど貶し続けてきたオバマ前大統領だったが、彼の就任後に6,000万人も増えた人口の中心は恐らくminoritiesである低層の人たちだっただろう3億2,000万人を抱え、誰がやっても上手く行くまいと言われたリーマンショック後のアメリカ経済と相対し、8年間にアメリカをあれほど弱体化させたにも拘わらず、恐らく世界でただ一ヶ国経済を安定的に復調させ失業率を4%台にまで低下させていたのは、立派な功績だと認めねばなるまい。我が国の野党が懸命にくさし続けるアベノミクスを超える成果だったのだと感じている今日この頃だ。即ち、「オバマ様、失礼致しました」とお詫びせねばならないかと、忸怩たるものがあるという意味だ。

次は新大統領:
そのトランプ大統領の就任演説である。簡単に言えば「簡にして要を得ていた」とでも形容したいほどL氏も彼を形容するのに使った言葉の“narcissist”に徹していた感もあったが、「自分が自分たちの国を再度偉大にしてみせる」と語りかけていた点は極めて解りやすかった。その限りにおいては彼を熱心に支持する層には強烈に訴えるだろうと思って聞いた。一層支持されるだろうと聞こえた。

だが、私には要するに「折角我がアメリカが世界の諸国をここまで良くして豊かにさせてやったにも拘わらず、彼らは我が国の職を奪い富を収奪し、繁栄を妨げた。今こそ我々はその苦境から脱してアメリカ第一に徹し、雇用(英語は“job”なのでこの訳語は不適切だと思うが)を増加させ仕事を取り戻す」という点を強調したのは、私には何となく被害妄想的かなとも聞こえなくもなかった気がする。トランプ大統領はアメリカ経済、就中製造業が弱体化し空洞化していった原因と実態を知ってか知らずか、叫んでいたように思えてならなかった。

何処かのテレビ局にゲスト出演した大学教授だったかが、私と同じ見方で「アメリカの労働力の質の向上と改善を図らねば、相変わらず世界市場で競争力を持たない製品を作り続ける結果に終わることに対する認識がない」と指摘したのだが、私はトランプ大統領がこの重大な問題点を認識して改善することに本気で取り組まない限り、幾ら“job”を増やしても賽の河原だと密かに危惧するのだ。

より具体的に言えば「アメリカの製品が世界市場で競争力(competitivenessという言葉が当たるだろう)が著しく弱いだけではなく、自分たちの国内市場の需要と要望と受け入れ基準(何故我が国では「ニーズ」とカタカナ語にするのか?)にだけ合わせただけの製品を世界最高と信じて押しつけてきただけで、海外市場のニーズに合わせる姿勢に乏しかっただけのこと」なのだ。もっと簡単に言えば、左ハンドルの車を右ハンドル車の国に「さー、世界最高だから買え」と押しつけたような販売政策とすれば解り良いかな。忌憚なくというか後難を恐れて言えば「善意に溢れた単純な自己過信商法」が通用しなくなったのだ。

私には既にTPP離脱を公式に言明したトランプ大統領がこの先何処まで「アメリカファースト」を基調にする政治・経済・軍事・外交・安全保障政策を採って行かれるのだろうかなどは解る由もない。彼は怖い物なしに見えるほど“unpredictable”であり、諸外国との多少の軋轢や摩擦を恐れることなく突き進むかのか知れないのかなとも思う。WTOがある以上、いきなり35だの45だのという高率の関税を恣意的に輸入品の賦課することが出来ないくらいご承知であって欲しいと思っている。

だが、トランプ大統領はこれまでに国際市場におけるビジネス独特の入り組み且つ微妙な仕組みを経験してこなかった以上、“OJT”(=on-the-job-training)のような試行錯誤の覚悟で進んで行く気なのかとすらも思えてくる。その過程で何が起きるかは経験して初めて解ることで、他国との文化の違いをOJTで大統領が学習していこうという考え方だったら怖いなという気もする。

私は上司の副社長に「貴方の行く手には文化の違いという凸凹道が待っている。それを渡りきるのは容易ではない。だが、私の"job”はその道を極限まで平らにならしてボスが平坦な道を歩けるようにすることと認識している」と言ったことがあった。これは自慢話ではない。トランプ大統領の参謀や閣僚に与えられた課題の一つが「世界各国への道を可及的速やかに最善の舗装道路に仕上げることだろう」と考えているから言うのだ。今はキャタピラー付き装甲車で押していく計画のように見えるのだが。