新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

11月22日 その2 毎日が楽しくなる手帳術

2015-11-22 20:09:39 | コラム
President誌2015 12 14号の特集:

最新のPresident誌の表紙に大きく「手帳術」とある。その上には「効率100倍!自分が変わる」とある。実は、私は1994年1月末でリタイヤーするまで手帳は買ったことはあるが、実際に有効活用していなかったし、持ち歩いてもいなかった。此処からは何故そうしていたかとの自慢話と反省記を。

実は、私は仕事の面では何事も記憶力に頼っていたので、何かメモに取ると書いた時点で忘れてしまうという特技もあり、書くのが倒だと思って記憶力に任せていたたので、此処は覚えておく必要があると思った時点で先ず忘れることはなかった。仕事上のことだが。具体的にいえば、所謂電話帳の類いは作ったことがなかったし、作ろうとも思わず全て覚えておくようにしていた。

同様に手帳を使う所謂予定表も作ったことがなかった。全て記憶しておいてその場で「ご予定は?」と尋ねられても記憶から呼び出して、如何なるアポイントメントでもその場で成立させていた。これには何度か客先に不信感を招いたこともあったが、繰り返すうちに何とか信用して頂けるようになった。だが、これには多少裏があって、スケジュールは全て有能な秘書任せだったので、聞かされた予定を記憶していれば済むことだったのだ。危なければ、後で彼女に確認すれば済むのだった。

更に私は毎日の行動と客先との折衝の記録というか日誌の類いは、全て報告書の形に纏めて直轄の上司だった副社長に提出していた。その内容は上記のように全て記憶から呼び起こしていたのだが、1~2時間の会談であれば、ほぼ間違いなく纏めることが出来ていた。通訳をする場合には何度か「30分くらいは話し続けられても大丈夫です」と真顔で保証したほど記憶力に自信があったが、現実には10分も続く長広舌はなく、問題になったことはなかった。

即ち、通訳の専門家が取っておられるようなメモは一切取らないという意味である。メモを取ろうとするか、また取ってしまうとその間に聞き漏らしが生ずる危険性もあったし、メモをするのが面倒だとの簡単でズボラな理由もあった。但し、英語の数の数え方は”million”だの”billion”だのという日本語にはない単位があるし、10万を”hundred thousand”等というので、記録せざるをえなかった。

未だ自慢話が続くが、アメリカの会社の出張旅費は全て実費精算であるので、詳細にメモを取っておかないと何時何処で幾らのtipを誰に払ったのかなどは覚えていられないというの常識だ。だが、私は2~3週間の出張ならば全て記憶で先ず細大漏らさず整理できたので、先ずメモは取らなかったし、如何なる出費でも全て領収証を取って保管していた。余談だが、tipも請求すればレシートは取れると聞いたが、貰ったことはない。

故に手帳術は全く心得がないという自慢話をするのではなく、若い頃にもいわれたし、自分でも恐怖に感じていたことは「老化して記憶力が退化したらどうする気か」は十分に意識していた。本日、戸籍上は兎も角、満83歳の誕生日を迎えて、物覚えが悪くなってきたことをあらためて痛感している。極端に言えば手洗いの中で思い付いたことを書き出そうと思ってPCの前に座って「はて、何だったか?」となるようなものなので、ただ今慌てて書き始めた次第だ。

イスラム教からW社のリストラまで

2015-11-22 20:05:05 | コラム
ヨーロッパの現状を如何に読み解くか:

20日は我が国の大手製紙会社のOBにして幹部だった方々3人と、嘗てはアメリカ最大手の一角を占めていた紙パルプ林産物会社のOBが定例の昼食会で語り合った。勿論、W社のリストラ案(紙パルプ事業売却)を含む多くの話題が採り上げられたが、冒頭には「一体イスラム教とは如何なる宗教であろうか。あのテロを起こしている連中は真に宗教上だけの動機で事を起こしているのだろうか。EUの諸国はこれから先に如何にシリア等からの難民問題に対処する気なのか」が論じられた。

勿論、我々の間で結論を出せる性質のことではない。私もそのうちの一人だったが、「マスコミ報道を聞くとか所謂専門家のご意見を伺っているだけでは、あのイスラム教徒の間で、イスラエルとパレスチナの争い、アメリカを含む西欧諸国の対処の仕方等の真の姿やその正当性等はとても理解不能だ。一体全体あのISのテロ行為を継続させてしまう危険性があるのかないのか、ISを殲滅できるのか」も語り合った。

私は第一次湾岸戦争の頃に親しくしていた中近東駐在経験がある2人の商社マンにマスコミ報道と言うべきか我が国に広まっていた”「クエイトが善」で「侵攻したフセインが率いるイラクが悪」という図式というか理解とというか報道は誤りであるし、2千年もかけて奪われた自分たちの聖地を取り返す闘争が仮令また2千年かかろうとも厭わない」という彼らの歴史と考え方を知らずに「中東和平」などと唱えるのはお伽噺だ。”と聞かされていた件を披露した。

また我々が語り合ったのは「同じイスラム教徒の中でスンニ派とシーア派が争うのは、仏教の中で浄土宗と日蓮宗が争うということを聞いたこともないし、同じ宗教内であれほど思想も哲学も行動の基準が異なること自体が理解不能である。それらの点を誰にでも解りやすく解説した上で、あのフランスのテロの背景と根拠や中東の争いのよって来たるところを解説して報道するのがマスコミの仕事ではないか」という辺りだった。

私からは既に紹介した武藤山治記念講座の司会役を務めておられる慶応大学弁論部の名誉顧問SM氏に「次回辺りの講座では是非この分野の専門家を招聘して頂き、世界史に不勉強だった者(私です)にも解るようなお話を聞かせて頂きたい」とお願いしてしまった。あのパリでのテロが宗教に根ざしているとは到底考えられないが、報道では「神は偉大なり」とテロリストが叫んだというではないか。

他には嘗ては世界最大級の製紙会社だったW社が言わばあらためて「脱紙パルプ産業」を表明したような売却処分を発表したことが示すように、アメリカでは印刷媒体の衰退著しく印刷用紙の需要が激減して大手製紙会社が劇的に業態を換えるというか極端な事業再編成行っている流れが何時止まるのか、次ぎに来る経営形態は如何なるものか、まさか東レのように航空機の材料になる炭素繊維を開発するような劇的な転換が可能なのか等も話題に上った。

傾聴すべき意見の中には「可及的速やかに印刷用紙依存の態勢を段ボール箱等の包装材料等を中核に置く方向に転換すべきだ」との意見もあれば、「アメリカでキンバリークラーク(Kleenexのメーカーで、家庭用紙、衛生用品等の全米最大手)のような未だ成長性を秘める分野を重視するべし」との意見もあった。全て尤も至極である。

私は以前から指摘してきたことで、「中国等の新興勢力の生活水準が向上し、紙類ではなくパルプや古紙等の原料の需要が急増した際に、ICT化の進捗で先進工業国で紙そのもの需要の減少傾向が続き、従って古紙の発生量が減少すれば、何処の誰がその新興勢力に原料供給の役割を果たせるのかに言いしれない危険を感じる」と述べるに止めた。

古紙事情に通暁されたSM氏が厳しい口調で強調されたことは「産業界として如何に古紙を他国に輸出することなどせずに、業界内で循環させていくかが重要な原料分野での鍵を握る」という古紙の分野の事情もさることながら、古紙を大切にするべき時代の到来だと認識せよ」だった。矢張り、ヨーロッパの事情から少し離れてしまったか。