新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

イスラム教からW社のリストラまで

2015-11-22 20:05:05 | コラム
ヨーロッパの現状を如何に読み解くか:

20日は我が国の大手製紙会社のOBにして幹部だった方々3人と、嘗てはアメリカ最大手の一角を占めていた紙パルプ林産物会社のOBが定例の昼食会で語り合った。勿論、W社のリストラ案(紙パルプ事業売却)を含む多くの話題が採り上げられたが、冒頭には「一体イスラム教とは如何なる宗教であろうか。あのテロを起こしている連中は真に宗教上だけの動機で事を起こしているのだろうか。EUの諸国はこれから先に如何にシリア等からの難民問題に対処する気なのか」が論じられた。

勿論、我々の間で結論を出せる性質のことではない。私もそのうちの一人だったが、「マスコミ報道を聞くとか所謂専門家のご意見を伺っているだけでは、あのイスラム教徒の間で、イスラエルとパレスチナの争い、アメリカを含む西欧諸国の対処の仕方等の真の姿やその正当性等はとても理解不能だ。一体全体あのISのテロ行為を継続させてしまう危険性があるのかないのか、ISを殲滅できるのか」も語り合った。

私は第一次湾岸戦争の頃に親しくしていた中近東駐在経験がある2人の商社マンにマスコミ報道と言うべきか我が国に広まっていた”「クエイトが善」で「侵攻したフセインが率いるイラクが悪」という図式というか理解とというか報道は誤りであるし、2千年もかけて奪われた自分たちの聖地を取り返す闘争が仮令また2千年かかろうとも厭わない」という彼らの歴史と考え方を知らずに「中東和平」などと唱えるのはお伽噺だ。”と聞かされていた件を披露した。

また我々が語り合ったのは「同じイスラム教徒の中でスンニ派とシーア派が争うのは、仏教の中で浄土宗と日蓮宗が争うということを聞いたこともないし、同じ宗教内であれほど思想も哲学も行動の基準が異なること自体が理解不能である。それらの点を誰にでも解りやすく解説した上で、あのフランスのテロの背景と根拠や中東の争いのよって来たるところを解説して報道するのがマスコミの仕事ではないか」という辺りだった。

私からは既に紹介した武藤山治記念講座の司会役を務めておられる慶応大学弁論部の名誉顧問SM氏に「次回辺りの講座では是非この分野の専門家を招聘して頂き、世界史に不勉強だった者(私です)にも解るようなお話を聞かせて頂きたい」とお願いしてしまった。あのパリでのテロが宗教に根ざしているとは到底考えられないが、報道では「神は偉大なり」とテロリストが叫んだというではないか。

他には嘗ては世界最大級の製紙会社だったW社が言わばあらためて「脱紙パルプ産業」を表明したような売却処分を発表したことが示すように、アメリカでは印刷媒体の衰退著しく印刷用紙の需要が激減して大手製紙会社が劇的に業態を換えるというか極端な事業再編成行っている流れが何時止まるのか、次ぎに来る経営形態は如何なるものか、まさか東レのように航空機の材料になる炭素繊維を開発するような劇的な転換が可能なのか等も話題に上った。

傾聴すべき意見の中には「可及的速やかに印刷用紙依存の態勢を段ボール箱等の包装材料等を中核に置く方向に転換すべきだ」との意見もあれば、「アメリカでキンバリークラーク(Kleenexのメーカーで、家庭用紙、衛生用品等の全米最大手)のような未だ成長性を秘める分野を重視するべし」との意見もあった。全て尤も至極である。

私は以前から指摘してきたことで、「中国等の新興勢力の生活水準が向上し、紙類ではなくパルプや古紙等の原料の需要が急増した際に、ICT化の進捗で先進工業国で紙そのもの需要の減少傾向が続き、従って古紙の発生量が減少すれば、何処の誰がその新興勢力に原料供給の役割を果たせるのかに言いしれない危険を感じる」と述べるに止めた。

古紙事情に通暁されたSM氏が厳しい口調で強調されたことは「産業界として如何に古紙を他国に輸出することなどせずに、業界内で循環させていくかが重要な原料分野での鍵を握る」という古紙の分野の事情もさることながら、古紙を大切にするべき時代の到来だと認識せよ」だった。矢張り、ヨーロッパの事情から少し離れてしまったか。


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