アジアの手仕事~生活と祈り~

アジア手工藝品店を営む店主が諸国で出逢った、愛すべき”ヒト・モノ・コト”を写真を中心に綴らせていただきます

19チャム 絹絣腰衣”サンポット・ホール・サムロイ”

2018-05-11 00:33:00 | 染織








製作地 カンボジア南東部 コンポンチャム Kampong Cham
製作年代(推定) 19世紀末(~20世紀初め)
素材/技法 絹(カンボウジュ種)、天然染料 / 綾地、緯絣
サイズ 縦(緯)86cm×横幅(経)184cm

カンボジア南東部の“コンポンチャム(Kampong Cham)”で手掛けられた、女性用の絹絣腰衣。

布全面に繊細かつ流麗な”幾何学文様(幾何学文様中の山吹色のモチーフは”鳥”を表わしている可能性あり)”が表わされた2m弱サイズのサンポット・サムロイで、ラック染めのややピンク掛かった華やぎ感のある”紅赤”を基調に、プロフー染めの”山吹”、藍染めの青とプロフー染めの黄と掛け合わせの”緑”、色彩の美しさと調和の高さに目と心を奪われる一枚です。

優れた素材・技術はもとより、敬虔な信仰(仏教及びイスラーム)を背景とする深い精神性が染織作品として表現された、アジア絹絣の名品と呼べるアンティーク・マスターピースの一枚です。























●本記事内容に関する参考(推奨)文献
  

20c中 タイ・プアン族 絹緯絣腰衣

2018-05-09 00:08:00 | 染織





製作地 タイ東北部 イサーン地方
製作年代(推定) 20世紀半ば
民族名 タイ・プアン族(Tai Phuan)
素材/技法 絹、天然染料+化学染料 / 緯絣
サイズ 全幅(経)154cm(筒状縫製)、総丈(緯)95cm

タイ東北部のイサーン地方に生活する「タイ・プアン族(Tai Phuan)」の手による、絹緯絣の筒状腰衣”パー・シン(pha sin)”。

本品は絹を素材に”緯絣”の技法により文様付けがなされたもので、裾部に配された赤の色が他には見られない特徴的なものであることから”ティーン・デーン(tiin daeng)=赤い裾”の腰衣と呼ばれる種類の作例で、祝祭・宗教行事の際の盛装用としてイサーン地方に生活するタイ・プアンの人々の間で手掛けられてきたものとなります。

水と大地を司る豊穣の象徴モチーフ”蛇龍神ナーガ”が緻密な菱格子文様として描かれた作品で、黒に近い濃藍を地色に幽玄な雰囲気で描かれた本体部のナーガと、裾部の明るい色調の赤地(=ティーン・デーン)とのコントラストが何とも印象的な一枚です。






























●本記事内容に関する参考(推奨)文献