(写真 日本・青森県 青森にて)
製作地 カンボジア南部
製作年代(推定) 20世紀前期 1930~40年前後
素材/技法 絹(カンボウジュ種)、天然染料、化学染料 / 均等平地、格子織
サイズ 幅(緯)57cm×全長(経)172cm
カンボジア南部の地で20世紀前期に手掛けられた絹格子織布”クロマー(krama)”。
経・緯ともにカンボウジュ種絹の手引き細糸を素材に緻密かつ端整な均等平地の格子で織り上げられた一枚で、巧みな配色・構成で表現された格子の色彩の美しさが際立つ作品です。
基調色の赤はラック染めと思われ、肉眼で”オレンジ”として目に写る色は、実際は”山吹”と”赤”のドット(点)、同じく"黄緑”として目に写る色は、実際には”山吹”と”緑”で構成されている等、経緯同密度の”完全均等平地”で緻密に織り上げることで、この鮮やかかつ力強い色彩が表出するものとなります。
”完全均等平地”は、一織り一織りに織り手の手指の繊細な神経が加えられること無しには完成に至らないもの、高度な手仕事による所産であり、今では失われし素材・技術の作品です。
●本記事内容に関する参考(推奨)文献
製作地 ミャンマー中西部 ラカイン(ヤカイン)州 Rakhaing
製作年代(推定) 20世紀初め
民族名 コウンショー族(Kounsho)
素材/技法 木綿、天然染料 / 平織・経地合、経縞織、刺繍
サイズ 肩幅(身ごろ幅):118cm、着丈:98cm
ミャンマー中西部のラカイン(ヤカイン)州に生活する「コウンショー族(Kounsho)」の手によるチュニックタイプの盛装用衣装上着“フヤン(phyang)”。
コウンショー族は、ラック染料(ラックカイガラムシ)の“赤”の染色を多用する民族であり、伝統に培われた高度な媒染技術による鮮やかな“赤”を筆頭に天然染色による木綿の多色表現に秀でております。
本衣装は細手に手紡ぎされた木綿糸を素材に、腰機によりタイトな経地合で織られており、織り地は何とも繊細で特別な衣装たる格調の高さが感じられるもの、そしてラック染めの紅赤と黒(濃藍)染めの縞の色彩コントラストが力強く印象的、天然染色の鮮やかかつ深みある色彩美が際立つ一品です。
さらに縞の中には”白””山吹””黄緑”、胸元には”白””薄茶””山吹””黄緑”の刺繍が加えられており、力強さの中にも繊細さが感じられます。
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