アジアの手仕事~生活と祈り~

アジア手工藝品店を営む店主が諸国で出逢った、愛すべき”ヒト・モノ・コト”を写真を中心に綴らせていただきます

17-18c茜地花唐草文・鬼手インド更紗裂

2016-02-09 07:49:00 | 染織






製作地 インド南東部 コロマンデル海岸エリア  
製作年代(推定) 17-18世紀
渡来地・使用地 インドネシア・スラウェシ島トラジャ
素材/技法 木綿、天然染料 / 木版捺染、茜媒染、藍描き染め、片面染め
サイズ 画像の方形裂 : 49cm(織り巾)×50cm

質感豊かな鬼手の木綿時に、木版捺しの茜媒染染めと藍の色挿しにより”花唐草”が深く濃くかつ瑞々しい色味で精緻に染め上げられたトラジャ伝世のインド更紗。

この「茜地花唐草文・鬼手インド更紗」は、17c-19cを中心とする海洋交易の時代、インドネシアと日本に同手のモノがもたらされ、それぞれの土地で愛好された手のもの、数百年にわたり同デザインの交易向け更紗が手掛けられたという点で、ロングセラーの作品と言うことができます。

本布の特筆すべきは、17-18c、日本の古渡りの時代に製作された”古渡り茜地花唐草文手”の大判美品裂である点で、18-19cの新しい作とは明らかに異なる布・色の豊かさ、格調の高さを感じさせるものとなります。時代に固有の滋味・色香に惹き込まれる古渡り裂です。