気ままに

大船での気ままな生活日誌

散歩の途中で「敦煌」を観る

2007-07-13 08:56:42 | Weblog
いたち川の川沿いを歩いてきて、本郷台駅前のよろい寿司で昼食をとる。997円の得盛りランチをお腹に入れて、外に出ると小雨がぱらついている。散歩は一時中止と、近くのアースプラザに入る。映像ライブラリーを覗いてみる。プロジェクトXのシリーズがおいてある棚を見回していると、近くに「敦煌」のビデオがあるのに気づく。

先週、横浜山手の文学館で、久米明の朗読で、井上靖作の「敦煌」を聞いたばかりである。たしか映画にもなっているはずだから、一度観てみたいと、思っていた。

映画は1988年につくられているから、もう約20年も前になる。もうそんな昔かと思う。でも確かに、西夏軍の部隊長、朱王礼役の西田敏行、同隊員、趙行徳役の佐藤浩市が若い。顔をみると、確かにそれくらいの年月はたっている。この両主役に次いで重要な役割を演じているのが、ツルビア役の中川安奈だ。西夏の敵国ウイグルの王女で、戦地で行徳に助けられ、恋仲となる。しかし、行徳が西夏の首都に派遣されて留守の間に、西夏の皇太子(渡瀬恒彦)に横取りされてしまう。皇太子との婚礼の日にツルビアは城壁から身を投げる、帰ってきていた行徳の目の前で。

ふと、風林火山の由布姫を思い出す、彼女も戦地で山本勘助に助けられ、結局敵方の信玄の側室になった。井上靖はこうゆうストリーが好きなのだろう、あるいは自分史にも似た経験があるのだろうかと余計なことまで想像する。

中川安奈は色白のエキゾチックな顔立ちで、ウイグルの王女役にはぴったりである。ワイフに聞いたことだが、当時は、鳴り物入りの新人女優だったらしい。でもその後、あまり聞かない。

舞台は北宋時代、11世紀のシルクロードだ。中国政府の協力のもとに制作されているので、現地での撮影が多い。砂漠でのスケールの大きい戦闘シーンが見事だ。大画面でみてみたいと思う。そして、戦時中、趙行徳の主導による、敦煌の莫高窟に4万冊に及ぶ貴重な経本や史料を運びこむシーン。さすが、物語つくりの天才、井上靖原作だけあって、2時間半ものの上映中、一時も飽きさせない。監督は佐藤純弥。

900年の年月を経て、この敦煌の莫高窟から4万冊の史料が偶然発見された。世界文化史上、20世紀最大の発見ともいわれている。しかし、その後の英国等の探検隊により、3万冊が他国に持ち去られたという。

見終えて、外に出ようしたら、篠突く雨だ。でも、20分ほど時間をつぶしていると、さっきの前が、ウソのように晴れてくる。

いたち川の流れは、昨日からのと先ほどの雨で、荒れ狂っている(写真)。水かさはいつもの倍もあり、水辺の葦やら背の高い草が、アップアップしている。それに水の色も土色だ、あの砂漠の色だ。普段、あんなにおとなしい清流が、怒ったような濁流になっている。戦争のようにみえる。ここにも、小さいながら、”敦煌の歴史”があるのだろう。

コメント
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