goo blog サービス終了のお知らせ 

令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(一)(29)誰(たれ)に見せむと

2011年01月04日 | 家待・越中編(一)友ありて
【掲載日:平成23年3月18日】

一本ひともとの なでしこ植ゑし
      その心 たれに見せむと 思ひめけむ



田辺福麻呂たなべのさきまろが 京へと発ってからも
宴席の弾み  止まらない
じょう 久米広縄くめのひろつなやかた
四月一日 
明日に立夏りっかを控え 待ち切れない面々が集う

の花の 咲く月立ちぬ 霍公鳥ほととぎす 来鳴きとよめよ ふふみたりとも
の花が 咲く季節とき来たで ほととぎす まだつぼみやが 鳴き来たどうや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四〇六六〕
二上ふたがみの 山にこもれる 霍公鳥ほととぎす 今も鳴かぬか 君に聞かせむ
二上ふたがみの 山隠れてる ほととぎす 聞かせたいんや 今鳴かんかい》
                         ―遊行女婦土師うかれめはにし―〔巻十八・四〇六七〕

かし 今夜こよひは飲まむ 霍公鳥ほととぎす 明けむあしたは 鳴き渡らむぞ
《ここって 朝まで飲もや ほととぎす 明日あした夏立つ 朝から鳴くで》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四〇六八〕
明日あすよりは ぎて聞こえむ 霍公鳥ほととぎす 一夜ひとよからに 恋ひ渡るかも
明日あしたから 続いて聞ける ほととぎす 一晩よて 聞かれんのかい》
                         ―能登乙美のとのおとみ―〔巻十八・四〇六九〕

  深まった頃
越中国分寺  先代の国師に仕えした 
僧の清見せいけんが 帰京するという
僧の帰京には 酒を進呈してのうたげが 持たれる
家待 惜別のこころ 撫子なでしこに込める

一本ひともとの なでしこ植ゑし その心 たれに見せむと 思ひめけむ
《一株の 撫子なでしこ植えた この気持ち 誰に見せよと おもた分るか》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四〇七〇〕
しなざかる 越の君らと かくしこそ 柳かづらき 楽しく遊ばめ
《この遠い 越でみんなと 出逢でおたんで 柳かずらで 楽しゅう仕様しょうや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四〇七一〕
ぬばたまの わたる月を 幾夜と みつつ妹は 我れ待つらむぞ
よるの空 渡る月見て 日や月を 数えて大嬢おまえ 待ってんやろな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四〇七二〕

家持は 酔いにひたれない
手にするさかづき 往き来はあるが
気はそぞ
心は  先日 貰い受けた 
田辺福麻呂たなべのさきまろ歌集と 歌綴り
目を通さねばの  心急ぎは
連日の  酒を 気抜けにしていた


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。