令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(一)(30)妻問(つまど)ひしけむ

2010年12月31日 | 家待・越中編(一)友ありて
【掲載日:平成23年3月25日】

いにしへへの ますら壮士をとこ
      相きほひ 妻問つまどひしけむ
            葦屋あしのやの 菟原うなひ処女をとめの・・・



やっとの いとま得た 家待
田辺福麻呂たなべのさきまろが残し置いた 歌集を
〔これは  これは
 田辺福麻呂さきまろ殿
 諸兄もろえ様お付きの歌人と 思いしが
 いろいろとの巡り さって居ったか
 おお 菟原うない処女おとめじゃ
 高橋蟲麻呂むしまろ殿での歌 名高いが〕

いにしへへの ますら壮士をとこの 相きほひ 妻問つまどひしけむ 
葦屋あしのやの 菟原うなひ処女をとめの 奥津城おくつきを 我が立ち見れば 
 
《その昔 雄々おおし男が 二人して 妻争いで 競い
 菟原うない処女おとめの 墓処はかどこを 見よと思うて やって来た》 
永き世の 語りにしつつ 後人のちひとの しのひにせむと 
玉桙たまほこの 道の近く 磐構いわかまへ 造れる塚を 
天雲あまくもの そくへのきはみ この道を 行く人ごとに 
行き寄りて い立ち嘆かひ ある人は にも泣きつつ
 
後々のちのちまでの 語り草 後の世ひとの しのび草
 仕様しょうみちに 石積んで 作り築いた はかづか
 この国住まう  どの人も 往き来にここを 通るとき
 立ち寄りたずね 嘆きする 人によっては 泣きむせぶ》
語りぎ しのぎくる 処女をとめらが 奥津おくつどころ 
我れさへに 見れば悲しも いにしへ思へば

《語り伝えて しのぐ 処女おとめまつる 墓処はかどころ
 見るに悲しい  昔の話》
                         ―田辺福麻呂たなべのさきまろ歌集―〔巻九・一八〇一〕

いにしへの 信太しのだ壮士をとこの 妻問つまどひし 菟原うなひ処女をとめの 奥津城おくつきぞこれ
《その昔 信太しのだ壮士おとこが 妻問つまどうた 菟原うない処女おとめの 墓処はかやで此処ここが》
                         ―田辺福麻呂たなべのさきまろ歌集―〔巻九・一八〇二〕
語りぐ からにも幾許ここだ 恋しきを ただに見けむ いにしへ壮士をとこ
《語りぐ だけでもこんな つらいのに とうの本人 どんなやろうか》
                         ―田辺福麻呂たなべのさきまろ歌集―〔巻九・一八〇三〕


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