令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(一)(23)朝びらきして

2011年01月25日 | 家待・越中編(一)友ありて
【掲載日:平成23年2月日】

珠洲すすの海に 朝びらきして ぎ来れば
           長浜のうらに 月照りにけり



雪深いこし
待ちに待った春の訪れ 
わたくし鬱々うつうつは知らず おおやけ任務は やってくる
家持は 春の稲の出挙すいこに出る
官による いねもみの貸付だ
役目の果しと共に  春景色が楽しい

雄神川をかみがは くれなゐにほふ 娘子をとめらし 葦附あしつきると 瀬に立たすらし
雄神川おかみがわ あこえてる 娘子おんなの子 海苔のり採ろおもて 川瀬立ってる》
                         ―大伴家持―〔巻十七―四〇二一〕 
鵜坂川うさかがは 渡る瀬多み このうまの 足掻あがききの水に きぬれにけり
鵜坂川うさかがわ 渡る瀬数せかずが いよって 馬ね水で ふく濡れて仕舞た》
                         ―大伴家持―〔巻十七―四〇二二〕 
婦負川めひがはの 早き瀬ごとに かがりさし 八十伴やそともは 鵜川うかは立ちけり
婦負川めひがわの 早瀬早瀬で かがりき 土地の役人 鵜飼いしとるで》
                         ―大伴家持―〔巻十七―四〇二三〕 
立山たちやまの 雪しらしも 延槻はひつきの 川の渡瀬わたりぜ あぶみかすも
立山たてやまの 雪解け水が あふれてて 早月瀬ぇで あぶみかった》
                         ―大伴家持―〔巻十七―四〇二四〕 

越中巡行終えた家持  能登へと向かう
越中とは違ったくに心緒じょうちょが またうれしい

志雄路しをぢから ただ越え来れば 羽咋はくひの海 あさぎしたり ふねかぢもがも
志雄しお街道みちを 越えたらパッと 羽咋はくい海 朝ぎしてる ふねしたいな》
                         ―大伴家持―〔巻十七―四〇二五〕 
鳥総とぶさ立て 船木ふなぎるといふ 能登の島山
今日けふ見れば 木立こだちしげしも 幾代いくよかむびそ

《船にする え木出すう 能登島の山
 やっぱりな  山繁ってて 神秘的やで》
                         ―大伴家持―〔巻一七―四〇二六〕 
香島かしまより 熊来くまきを指して ぐ船の かぢ取るなく みやこし思ほゆ
《香島出て 熊来くまきぐ梶 休みなし 都おもうも 休む間ないわ》
                         ―大伴家持―〔巻一七―四〇二七〕 
妹にはず 久しくなりぬ 饒石川にぎしがは 清き瀬ごとに 水占みなうらへてな
《置いてきた 大嬢おまえどしてる うらなおか きれえな水の 饒石にぎしの川で》
                         ―大伴家持―〔巻十七―四〇二八〕 
珠洲すすの海に 朝びらきして ぎ来れば 長浜のうらに 月照りにけり
《朝珠洲すずを 船出ふなで日中ひなか ぎ続け 長浜来たら え月出てる》
                         ―大伴家持―〔巻十七―四〇二九〕 

任務合間の折々  思いは 都 そして 妻



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