令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・青春編(一)(11)餓鬼(がき)の後(しりへ)に

2010年07月27日 | 家持・青春編(一)恋の遍歴
【掲載日:平成22年7月6日】

あひおもはぬ 人を思ふは 大寺おほでら
             餓鬼がきしりへに ぬかづくがごと



狂わんばかりの  笠郎女
疲れ果て  心へとへと 家持

我れも思ふ 人もな忘れ おほなわに 浦吹く風の む時なけれ
《忘れんと  うち思てるで あんたもな いついつまでも 途切れんように》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―〈巻四・六〇六〉

思ふにし しにするものに あらませば 千遍ちたびぞ我れは 死にかへらまし
《もしもやで 恋焦がれして 死ぬんなら うち千回も 死んで仕舞しもてる》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―〈巻四・六〇三〉

あひおもはぬ 人を思ふは 大寺おほでらの 餓鬼がきしりへに ぬかづくがごと
《気ィめた 人思うんは 寺の餓鬼 尻から拝む みたいなもんや》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―〈巻四・六〇八〉

〈我れは  餓鬼の尻か 
 いや  それ以下やも知れぬ
 あれだけの  いい女
 大事に  してやれなんだ〉

いまさらに 妹に逢はめやと 思へかも ここだ我が胸 いぶせくあるらむ
《あんたには  もう逢わんとこ 思うけど ちょっとこの胸 ちくちくするな》
                         ―大伴家持―〈巻四・六一一〉 

なかなかに もだもあらましを 何すとか 相見そめけむ げざらまくに
げられん 恋やになんで 逢うたんや 声掛けたんが 間違いやった》
                         ―大伴家持―〈巻四・六一二〉 

二人の  長く激しい恋は 終わった

恨みつらみが いたかゆい思い出と なった頃
思わずに ふみが届く

こころゆも 我ははざりき またさらに 我が故郷ふるさとに 帰りむとは
《なんでまた 故郷くにに帰って 来たんやろ 恋くさした あんたの所為せいや》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―〈巻四・六〇九〉

近くあらば 見ずともあらむを いや遠く 君がいまさば 有りかつましじ
《あんたはん 近くったら 生きてける 離れて仕舞しもて 生きる甲斐かい無い》
                         ―笠郎女かさのいらつめ―〈巻四・六一〇〉

笠郎女にとって  一世一代の恋であった



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