NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。
【三月十三日】放映分
いざ子ども 早く日本へ 大伴の 御津の浜松 待ち恋ひぬらむ
《さあみんな 早う日本へ 帰ろうや 御津の浜松 待ってるよって》
―山上憶良―(巻一・六三)
【万葉歌みじかものがたり】《士やも》
今でも 夢に見る
あの 御津の浜での 盛大な見送り・・・
難波の津を出て 那の津へ
そこからが 大変であった
出航した船は 嵐に見舞われ 筑紫に戻り
再度の船出は 翌年
忘れもせぬ あの恐ろしい波の音 海の色・・・
唐土
むきだしの山肌 巻きあげる黄砂 濁り水
大和の 青い山 白い砂 清い流れを
どんなにか恋しく思うたことか
いざ子ども 早く日本へ 大伴の 御津の浜松 待ち恋ひぬらむ
《さあみんな 早う日本へ 帰ろうや 御津の浜松 待ってるよって》
―山上憶良―(巻一・六三)
あのとき すでに四十二 若くはなかったが 唐土への遣いに列し 青雲の志に 燃えていた
しかるに 帰朝後に待っていたのは 十年余りの虚しい日々
その後 伯耆守に任じられはしたが
齢は 五十七を数えていた
地方官の任務に耐え 一度は京の職に着いたものの
六十七の歳 筑前守を命じられ 天離る鄙へ
でも 筑紫は 楽しかった
旅人殿を中心とした 筑紫歌壇が 懐かしい
旅人殿は 赴任早々 奥方を亡くされたのだった
鬱々たる日々 せめてもの慰みにと 催された宴の数々
七夕の宴
梅花の宴
あのころの友 小野老 沙弥満誓・・・
みな 遠くなった
筑前守 任解かれしは昨年
京に戻れはしたが もう 役目とてない
世を疎う 歌詠みの日々が 過ぎて行った
今 病を患 この体たらくだ
藤原八束殿が 川辺東人をして 見舞いに寄こして下された
果報者よ 憶良 まだ 友が居る
「見舞いの礼に 八束殿に この歌を
憶良めは まだまだ 死なぬと お口添えを」
士やも 空しくあるべき 万代に 語り続くべき 名は立てずして
《丈夫と 思うわしやぞ 後の世に 名ぁ残さんと 死ねるもんかい》
―山上憶良―(巻六・九七八)
天平五年(733)
社会派歌人は 帰らぬ人となった 享年七十四
――――――――――――――――――――
【古事記ものがたり】への誘い
古事記編纂1300年を期し 一大叙事詩を作ってみました
こちらを ご覧下さい。
【古事記ものがたり】へ
【万葉歌みじか物語】はこちら
<万葉歌みじかものがたり>へ
■リンク先
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
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【三月十三日】放映分
いざ子ども 早く日本へ 大伴の 御津の浜松 待ち恋ひぬらむ
《さあみんな 早う日本へ 帰ろうや 御津の浜松 待ってるよって》
―山上憶良―(巻一・六三)
【万葉歌みじかものがたり】《士やも》
今でも 夢に見る
あの 御津の浜での 盛大な見送り・・・
難波の津を出て 那の津へ
そこからが 大変であった
出航した船は 嵐に見舞われ 筑紫に戻り
再度の船出は 翌年
忘れもせぬ あの恐ろしい波の音 海の色・・・
唐土
むきだしの山肌 巻きあげる黄砂 濁り水
大和の 青い山 白い砂 清い流れを
どんなにか恋しく思うたことか
いざ子ども 早く日本へ 大伴の 御津の浜松 待ち恋ひぬらむ
《さあみんな 早う日本へ 帰ろうや 御津の浜松 待ってるよって》
―山上憶良―(巻一・六三)
あのとき すでに四十二 若くはなかったが 唐土への遣いに列し 青雲の志に 燃えていた
しかるに 帰朝後に待っていたのは 十年余りの虚しい日々
その後 伯耆守に任じられはしたが
齢は 五十七を数えていた
地方官の任務に耐え 一度は京の職に着いたものの
六十七の歳 筑前守を命じられ 天離る鄙へ
でも 筑紫は 楽しかった
旅人殿を中心とした 筑紫歌壇が 懐かしい
旅人殿は 赴任早々 奥方を亡くされたのだった
鬱々たる日々 せめてもの慰みにと 催された宴の数々
七夕の宴
梅花の宴
あのころの友 小野老 沙弥満誓・・・
みな 遠くなった
筑前守 任解かれしは昨年
京に戻れはしたが もう 役目とてない
世を疎う 歌詠みの日々が 過ぎて行った
今 病を患 この体たらくだ
藤原八束殿が 川辺東人をして 見舞いに寄こして下された
果報者よ 憶良 まだ 友が居る
「見舞いの礼に 八束殿に この歌を
憶良めは まだまだ 死なぬと お口添えを」
士やも 空しくあるべき 万代に 語り続くべき 名は立てずして
《丈夫と 思うわしやぞ 後の世に 名ぁ残さんと 死ねるもんかい》
―山上憶良―(巻六・九七八)
天平五年(733)
社会派歌人は 帰らぬ人となった 享年七十四
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古事記編纂1300年を期し 一大叙事詩を作ってみました
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