本の迷宮

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テレビくん (水木しげる)

2007-01-16 10:49:36 | 漫画家(ま行)
この「異界への旅」という本は呉智英が<水木しげる作品集>として作品を選んだもの。
「異界への旅」という作品があるわけではない。


この作品集の中に「テレビくん」が収録されている。


「テレビくん」は水木しげるが初めて大手出版社に描いた作品である。

タイトルは「テレビくん」だが、主人公ではない。
主人公は、三太という貧しい少年。
テレビくんは、テレビの中に自由に入ってテレビに映っているものを取ってくることが出来るという不思議な能力を持っている。

三太の学校に転校してきたテレビくんの秘密を三太が知るが、三太にプレゼントをしてテレビくんは去っていく・・・という話。


特別、ドキドキハラハラするようなものでもない。
絵柄も少年漫画にしては、格好いいわけでもなく、どちらかというと違和感さえある。
ラスト、三太は相変わらず貧しいままだし、テレビに入れる能力を得るわけでもない。
それでも何だか妙に心に残る作品。。。


この作品が発表されたのは1965年。
ほとんどの家庭にテレビがある時代だ。


今の子どもはテレビの中に入りたい・・・入れないかな~?という幻想を抱くことがあるのだろうか?
小さいときは誰でも一度は思う願望?
ま~、今時の子はどう考えるのかちょっとわからないが、
1965年当時は、「テレビくん」のようにテレビの中に入ってCMの新発売のお菓子を食べることが出来たらな~~~!って考えてた子どもが絶対にいたと思うのだ。


テレビの中で食事をして、テレビの中の品物も自由に持ち出せて、テレビの中で昼寝する!!


まるで夢のような話ではないか!!!(漫画の話だけどね・・・笑)


そう考えると、この一見地味な作品が急に輝きを増してくるように思えるのだ。


・・・で、ちょっと蛇足だが、
テレビくんが三太にあげたプレゼント。
普通ならおもちゃ関係を思うだろう。
何だと思う?
なんと「オーバーと下着」なのだ!!
オーバーは、まだいいとして、「下着」だよ「下着」!!
実に実用的で必需品!!


この作品を描くまで、水木しげるは貧乏だったらしい。
当時の水木しげるが一番欲しかったのは下着だったのかな~~~??



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