本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

セイレーン (山岸凉子)

2007-08-07 08:47:03 | 漫画家(や・ら・わ行)
(1977年発行)

『セイレーン』(昭和52年 花とゆめ3号掲載)

主人公であるカメラマンが訪れたギリシアの最北端にあるS島。
観光客もいない辺鄙な島で出会ったニコという少年。
ニコは島民が絶対に行かないというセイレーンの岩の上にいた・・・。
その岩の下には・・・。
という感じの作品。
まるで古いフランス映画を観ているような気がしてくる。




『パニキュス』(昭和51~52年 花とゆめ24号、1号掲載)

幼い頃、いつも一緒に遊んでいたハリーとネリー。
兄のハリーは大きくなって家を離れ、音楽学校へ行くことになる。
取り残されて哀しむネリー。
兄は、向こうで友人(チャールズ)を作りそして友人の妹と結婚をする。
その後、兄は戦争に行き
友人のチャールズを助けた為死んでしまう。
ハリーを失ってチャールズを憎むネリー。
「私はチャールズを憎むわ
あの人は私のハリーを
私のハリーでなくして
そして今度はハリーを永久に私から奪ってしまった
私はチャールズを許さない」

年月が経ち、ネリーは童話作家になる。
そしてチャールズが戦争で片腕を失っていたことを知る。
彼女はチャールズに語る。
「わたくしこそ あなたのことを考えもせずに・・・
(中略)
わたしはハリーを愛してたというよりも
自分の分身を愛していたのです
(中略)
ずっと以前私を黄金の人間だといってくれましたね。
けれど 黄金は自分に泥が混じるのをおそれるあまり
もうひとつの黄金しか
愛そうとしなかったのですわ」
・・・

これは、一人の女性の半生を描いた古い洋画のような雰囲気の作品。
自分自身の自我の目覚め・・・といったものを非常によく表現している。
2時間ドラマにでもしたらいいものが出来そうな気がする。




『愛天使(セラピム)』(昭和52年 ララ3月号掲載)

母が死んで、今では後妻とその間に出来た子どもたちと暮らしている父の家で暮らすことになった水穂。
その家には離れがあって、ひとりの少年が暮らしていた。
彼は6歳の時交通事故で足を怪我して以来、心を閉ざしてしまっていた。

次第に水穂に打ち解けていく少年。
水穂は少年の純粋さに彼自身が”天使”のようだと思った。
ところが彼は天使を知っていると言う。
・・・


家庭崩壊をしている家族。
世間から隔離されている少年。
そして・・・天使。
ムード的にはとっても良いのだが、あと一歩踏み込んで貰いたかった。
どうも少年の周りに現れる天使の説得力が・・・もう少し・・・っていう感じ。
ページ数がもっとあれば良かったのかもしれない。



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