本の迷宮

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ニッポンのマンガ (浦沢直樹 「月に向かって投げろ!」)

2006-11-28 08:50:00 | 漫画家(あ行)
これは、手塚治虫文化賞10周年記念で出版されたものだ。


大賞受賞者によるオール描き下ろしのマンガが5本。

どれも素晴らしい出来の作品だ!!


現在の漫画界のトップレベルの漫画家たちが描いたものだから当然といえば当然なのだが・・・。
こういうものを、漫画に偏見を抱いてる人に読んで欲しいと思う。
・・・が、そういう人たちにこの漫画のどこが素晴らしいのか理解出来るかな~?という疑問もあるが・・・。(苦笑)


この本には萩尾望都×浦沢直樹のスペシャルトークとか、興味深い読み物がいっぱい!
これで<本体1048円+税>は安い!!



まずは、浦沢直樹の作品
「月に向かって投げろ!」
12年ぶりに描いた短編。

たった30ページの作品なのに感動してしまった!
悔しいが、ラスト、じ~~んとしてしまった~!(別に悔しがる必要はないんだけどね・・・笑)


二度読み返してみた。
やっぱりラストに感動してしまう。


何故だ!?何故感動させられる??


りんごを盗って逃げる少年。
逃げる途中で出会った木の下に死んでいるかのように横たわっていた老人。
構図がいいんだよな~。
映画監督の本広克行氏も言ってるのだが、
「このまま撮れば映画になる!」


ロングからアップ・・・りんごのアップ、りんごを食べる口元のアップ・・・
再びロング。
そして・・・「目」。。。


「目」に力があるんだよね~~~。
ため息が出るくらい力のある「目」。
浦沢直樹の絵自体は申し訳ないが「美しい」という絵ではないと思う。
線が美しいわけでも、美男・美女が描けるわけでもない。
どちらかと言うと、一見、雑にささっと描いてるだけの線にすら見えなくもない。


しかし・・・生きてるのだ。
力があるのだ。。。


だから、じつに魅力的なのだ。


そして、キャラが立っている。
こんなに短い作品でもちゃ~んとそれぞれのキャラの性格は見事なまでに表現されている。


勿論、ストーリーは浦沢直樹お得意の「謎」「謎」「謎」・・・
読者は、話がどう展開していくのか気になって、読み出したらもう目を離すことが出来ない!!


伏線は、見事に全てひとつにつながり・・・


そして、ラスト・・・


凄いよ!凄すぎる!!


こんな凄い作品を描かれちゃあ、
10年間に二度も大賞を受賞したって、文句なんて言えなくなるじゃありませんか!?




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