本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

漆原友紀 (水域)

2011-06-12 20:44:10 | 漫画家(あ行)
(amazonの内容紹介より)
日照り続きで、給水制限中の街。酷暑にあてられて意識
を失った川村千波は、豊かな水にあふれる村で、少年と
老人に出会う夢を見る。祖母に夢の話を聞かせた千波は、
意外な言葉を聞く。「それ……ばあちゃんの昔の家じゃ
ないかねぇ」また行きたい──そう願った千波が目を覚
ましたのは、夢だと思っていたあの村。そして再会した
少年・スミオから、この村では雨が降り止まないことを
知らされる。



この作者の描く作品世界が好きです。
しっとりと穏やかでどこか懐かしい。
この作品では山奥の村の様子が空気感も感じられるぐらい作品世界に入り込んでしまう。
読後感は何と言いましょうか、例えるならNHKの良質な実写版ドラマを観た感じっていうところでしょうか。

かつてダムに沈んだ村と現実の間を主人公が彷徨うストーリーですが、
ダムに沈む村というと、四国の人間は真っ先に「早明浦ダム」を思い浮かべると思います。
渇水になると、必ず旧大川村役場の建物が現れてそれがニュースになるんですよね。
今は水の底に沈んでしまったけれども、以前は確かに人間が生活を営んでいたという過去がある。
それを考えると、かつてそこで暮らしていた人はどんな思いでこのニュースを見るんだろうなあって思うのです。

我家のご先祖様が暮らしていた土地も早明浦ダムではないのだけど、ダムに沈んでいます。
日本の各地でそういう風にダムに沈んだ村っていうのはいっぱいあるのだろうなって思います。

この作品にはそういう人たちの様々な想いがいっぱい詰っているような気がします。


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