(2003年発行)
<カバー裏表紙の説明文より>
娘と母、娘と祖母、母と祖母
男女の愛、肉親の愛、学友の愛
双方向の愛、一方向の愛、全方向の愛
女という不思議な存在の
さまざまな愛のカタチを
静かに深く鮮やかに描く
「メロディ」で発表された
人気シリーズを完全収録。
まず、表紙の『表情』を見て欲しい。
実に様々な情感を込めた表情・・・。
(彼女は何を想っているのだろう・・・?)
こんな表情を見せられたら、それだけで「完敗!」という気になってしまう。
(こんな表情を魅せられたら、それだけで「乾杯!」という気になってしまう。(笑)
さりげなく、さらっと描いているように見えるが実に素晴らしい!
ここまで素晴らしい「表情」を描ける漫画家は少ないと思う。
母一人、子一人で育ってきた雪子。
五十過ぎて母に癌が見つかる。
幸い手術は成功したのだが、母は
「これからは自分の好きに生きていくことにしたわ」
・・・と言って、雪子より3歳も若い「元ホスト」(27歳)と結婚する!!
普通なら「元ホスト」なんていう設定だと金目当てとか、性格が悪いとかだが、
この「大橋健」は顔も性格も実にいい男!!!
この雪子の感情の機微を見事なまでに表現している!!
表情を描くのも勿論上手いのだが、
エピソードの積み重ね、目の付け所、台詞・・・どれも上手いのだ!!!
3話で登場する莢子。
彼女は祖父から
「決して人を分け隔てしてはいけないよ
いかなる理由があっても
人を差別してはいけない
全ての人に等しくよくしてあげなさい」
と言われて育つ。
莢子は顔も性格も非常にいい女性だ。
それなのに、まだカレシがいない。
ある日、お見合いをして
結婚をするならこういう人がいいと思える人に出会う・・・。が、
「でも私その人と結婚しなかったの
結婚できなかったの」
莢子は友人の雪子に語る。
「祖父は小さなあたしに よく言ったの
『全ての人に分け隔たりなく接しなさい
どんな人にも良くしてあげなさい
お前も常に誰かに助けられて
いま生きているのだから』」
(中略)
「でもあたし気付いてしまったの
恋をするって 人を分け隔てるという事じゃない」
結局、莢子は修道院に入ってしまう。
普通に考えると、こんなヤツ、実際にいるか~~??
・・・って思うのだが妙に納得させられてしまう。
それも「作者の力量」があるからだろうか。
最終話は雪子の母と祖母の話。
祖母はどちらかというと美人ではない。
雪子の母(麻里)は美人である。
しかし麻里は自分を美人だとは思っていない。
何故なら母(雪子の祖母)からいつも顔を貶されて育ったからだ。
我が子である麻里の顔を貶して育てた理由を祖母から聞いた雪子は思う。
「母というものは 要するに一人の不完全な女の事なんだ」
この辺りの一人一人の表情、台詞、「間」・・・
どれも素晴らしすぎて私の拙い文章では表現することが出来ない。
読後、心にじんわりと温かいものが溢れてくる・・・そんな作品。
<カバー裏表紙の説明文より>
娘と母、娘と祖母、母と祖母
男女の愛、肉親の愛、学友の愛
双方向の愛、一方向の愛、全方向の愛
女という不思議な存在の
さまざまな愛のカタチを
静かに深く鮮やかに描く
「メロディ」で発表された
人気シリーズを完全収録。
まず、表紙の『表情』を見て欲しい。
実に様々な情感を込めた表情・・・。
(彼女は何を想っているのだろう・・・?)
こんな表情を見せられたら、それだけで「完敗!」という気になってしまう。
(こんな表情を魅せられたら、それだけで「乾杯!」という気になってしまう。(笑)
さりげなく、さらっと描いているように見えるが実に素晴らしい!
ここまで素晴らしい「表情」を描ける漫画家は少ないと思う。
母一人、子一人で育ってきた雪子。
五十過ぎて母に癌が見つかる。
幸い手術は成功したのだが、母は
「これからは自分の好きに生きていくことにしたわ」
・・・と言って、雪子より3歳も若い「元ホスト」(27歳)と結婚する!!
普通なら「元ホスト」なんていう設定だと金目当てとか、性格が悪いとかだが、
この「大橋健」は顔も性格も実にいい男!!!
この雪子の感情の機微を見事なまでに表現している!!
表情を描くのも勿論上手いのだが、
エピソードの積み重ね、目の付け所、台詞・・・どれも上手いのだ!!!
3話で登場する莢子。
彼女は祖父から
「決して人を分け隔てしてはいけないよ
いかなる理由があっても
人を差別してはいけない
全ての人に等しくよくしてあげなさい」
と言われて育つ。
莢子は顔も性格も非常にいい女性だ。
それなのに、まだカレシがいない。
ある日、お見合いをして
結婚をするならこういう人がいいと思える人に出会う・・・。が、
「でも私その人と結婚しなかったの
結婚できなかったの」
莢子は友人の雪子に語る。
「祖父は小さなあたしに よく言ったの
『全ての人に分け隔たりなく接しなさい
どんな人にも良くしてあげなさい
お前も常に誰かに助けられて
いま生きているのだから』」
(中略)
「でもあたし気付いてしまったの
恋をするって 人を分け隔てるという事じゃない」
結局、莢子は修道院に入ってしまう。
普通に考えると、こんなヤツ、実際にいるか~~??
・・・って思うのだが妙に納得させられてしまう。
それも「作者の力量」があるからだろうか。
最終話は雪子の母と祖母の話。
祖母はどちらかというと美人ではない。
雪子の母(麻里)は美人である。
しかし麻里は自分を美人だとは思っていない。
何故なら母(雪子の祖母)からいつも顔を貶されて育ったからだ。
我が子である麻里の顔を貶して育てた理由を祖母から聞いた雪子は思う。
「母というものは 要するに一人の不完全な女の事なんだ」
この辺りの一人一人の表情、台詞、「間」・・・
どれも素晴らしすぎて私の拙い文章では表現することが出来ない。
読後、心にじんわりと温かいものが溢れてくる・・・そんな作品。
その時は「神様じゃないんだから自分にはこんな思想の体現は無理だな」ってさらっと流したんですが…つまりこういうことを自分に課す人が「聖職者」なんでしょうかね…?
小さい時は自分にとって導いてくれる存在だった母親が、勿論悩んだりも苦しんだりもする、普通の一人の人間、一人の女の人なんだって分かる時…っていうのも、アッシの年齢になるともう既に通過してますが…
こういうほぼ沢山の人が共感できる、だけど常にはあまり話題に上ったりしない、微妙に繊細なところを、上手く描かれる作家さんですよね~
アッシにとっては、そのリアルさとそれに対する優しい姿勢が、読んでてじんわりくるものなのかも知れません。
う~~ん、そういうことなんでしょうかね~?
私はとてもじゃないけど「聖職者」にはなれそうにありません。
母親が普通の一人の人間って、本当によくわかってしまう年齢になってしまいました。
自分自身も、そして自分の母親も、不完全な人間だな~って近頃よく思ってしまいます。
ま~、仕方ないんだけどね。
いろんな意味で生きて行くっていうのは大変だと思いますね。
>微妙に繊細なところを、上手く描かれる・・・
同感です。
こういう所に目をつけ、実に上手く表現出来るっていうのは生まれながらの才能なのかな~?
一番印象に残ったのは、前後編と長かった所為もあって、
修道院に入いる莢子のお話でした♪。従姉が修道院に入いった
もので、なお、印象的に感じた所為もあると思うんですが。
私の巡回サイトさんの(あさき)さんが、この作品を
(よしながふみ)さんの「最高傑作」に挙げられてます。
私はよしなが作品を全部読んでいるわけではないのだけど、今まで読んだ中では一番「スゴイ!」と思った作品だと思います。
私がこの作品で一番心に残ったのは、
「母というものは 要するに一人の不完全な女の事なんだ」
・・・という言葉。
”母”という言葉を”父”でも”教師”でもとにかく尊敬する人を当てはめていいと思うのだけど・・・今まで無条件に信じていた人がある日突然”不完全な人間”だとわかってしまう一瞬。。。
いろんな意味で、強烈に私の心に響きました。
「あなたが人の子 (男でも女でも) なら読むべきだと言うしか有りません。」
↑この言葉・・・とっても深くて、私も実にその通りだと思いました。