本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

武良布枝 (ゲゲゲの女房)

2008-09-19 09:05:12 | エッセイ
内容(「MARC」データベースより)
巨人・水木しげると連れ添って半世紀。赤貧の時代、人気マンガ家の時代、妖怪研究者の時代、そして幸福とは何かを語る現在…。常に誰よりも身近に寄り添っていた妻が明かす、生きる伝説「水木サン」の真実


<ゲゲゲの女房>すなわち水木しげるの奥さんの半生です。

今まで水木しげるの自伝は読んでいるが妻の視線から見た水木しげる像っていうのも結構いい。
本人は飄々としていて半分<妖怪>みたいな人っていうイメージ(笑)だけど、妻から見るとちゃんと普通の人間ってところが非常に興味深い。

見合いして五日後に結婚して、すぐ赤貧生活。
必死に作品を描いてるのに売れず、靴や着物を質に入れる生活。
それでいて夫婦で連合艦隊の模型作りに励んだり・・・そういう心のゆとりがあるところがいかにも水木サン。

漫画が売れ始め、アニメにもなると今度は寝る暇もないぐらい仕事に追われる日々。
「オレも眠りたい。
ノンキな暮らしがしたい。
でも、また貧乏をするかと思うと、怖くて、仕事を断ったりすることは、とてもできない。
締め切りに追われる生活も苦しいが、貧乏に追われる生活はもっと苦しい。
それに、いまが人生の実りの時期なのかもしれない。
だから、後にひいてはだめなんだ」

その後、武良一族と一緒に暮らすことになるのだが、
水木は仕事で忙しく夫婦の会話はなくなり、
水木は妻子より武良一族の方を優先するなど妻としては辛い日々が続くわけだけど、
紫綬褒章を受章したり、
境港に妖怪ブロンズ像が出来るなど、今までの苦労が徐々に報われるという感じになってくる。

水木は妻のことを
「『生まれてきたから生きている』ような人間です」
と評しているが、妻自身その通りだと思って思わずわらってしまったそうだ。

なるほどね『生まれてきたから生きている」
それって素晴らしいことなのかもしれない。
ただただ夫のあとを付いて行く・・・夫唱婦随かぁ~。。。



ある日、夫婦で一緒に夕日を眺めながら妻がつぶやいた言葉
「終わりよければすべてよし!」
それを聞いた水木が言う。
「おまえ、たまにはいいこというな」


このシーン、とってもステキです。
口では言い表せないほどの苦労をしつつ、お互いが「信頼関係」を築いていたからこそそれを乗り越えたという想い。
私も、もっと歳をとったときに、
「終わりよければすべてよし!」
って、つぶやけるような人生にしたいな~って思います。


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