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本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

夢みる機械 (諸星大二郎)

2008-05-28 08:49:18 | 漫画家(ま行)
1974年~1981年の間に描いたSF短編集。

あとがきで作者は
「夢みる機械」や「地下鉄を降りて・・・」の新宿高層ビル街が当時と全然違っていたり、
世界総人口が雑誌掲載時は35億、初版の単行本では45億、そしてこの本では55億と増えているところなどから、
時の流れを感じると書いている。

そういう表面的なものから見ると確かに古い作品かもしれない。
しかし、物語の本質的な面白さというものは今読んでも十分に面白い。
こういう作品はきっと日本だけでなく世界にも通用する面白さだと思うし、
今後何十年経っても残る作品なんだと思う。

表題作「夢みる機械」では、現実世界は自分ソックリの身代わりロボットに任せて自分自身は自分の希望する夢を見続けるというお話。
ちょっと「マトリックス」をイメージしてしまったけど、もちろんこっちの方が古い。

厳しくても現実を生きる方がいい・・・というのが本当はいいのかもしれないけれど・・・
楽しい夢の世界でずっと生きるのもちょっといいなあって思う私はちょっと精神的に病んでるのかなあ?

銀河英雄伝説-英雄たちの肖像- 1巻 (作画:道原かつみ 原作:田中芳樹)

2008-01-18 13:35:02 | 漫画家(ま行)
(2008年1月1日発行)

「銀河英雄伝説」が再開されました。
と~~っても嬉しいです♪
ラインハルトは相変わらず麗しいし、
ヤンも相変わらず魅力的。
ユリアンも可愛いし、
今回はアッテンボローのエピソードが面白かった。

表紙はラインハルトなんだけど、”月刊リュウ”1月号を買えばヤンバージョンのコミックスかけ替えカバーが付録に付いてるんですよねぇ・・・。
迷った挙句・・・結局買わなかったんだけど、やっぱりヤンバージョンのカバーも欲しい~~~~!!

拝み屋横丁顛末記 9巻 (宮本福助)

2007-12-24 21:05:09 | 漫画家(ま行)
しなくちゃいけない事が多すぎて昼寝をする暇もない今日この頃です。(笑)

これを読んだのは忙しくなる前なのよね。
感想を書くときはもう一度目を通してから書くんだけど、目を通す暇がないので詳しい感想が書けません。

まあ、とにかくいつも通り、三人の爺さんたちが元気に走り回っております。
元気な年寄りを見るのは好きです。
どんどん、子供の数が減ってきて老人が増えている昨今、元気で長生きしたいなあ~!と切実に思うんですよねぇ・・・。



エマ 9巻 (森薫)

2007-10-29 09:57:23 | 漫画家(ま行)
(2007年発行)

どんどん絵が上手くなってきて嬉しくなっちゃいますね~♪

「エーリヒとテオ」ではリスの動きが非常にいいし、
「歌の翼に乗せて」では、髪の毛と手の表現がステキ。

そして、今回私が一番気に入ったのが「友情」。
ウィリアムとハキムが初めて出会ったときの話なのだが、子供の頃のハキムがとっても可愛い♪
勿論、大人になったハキムも好きなんだけどね。

それに、ふたりの話だけでなく、インドとイギリスの関係も絡ませて描いているのが良かった。

ハキムとウィリアムがテニスをしているのを見ながらハキムの父親である陛下が語る言葉と表情が実にいい。
「他国による支配が永続した例はない
貴国はいわば過客だ
いずれ去る
滞在が終わった後
彼らは我々をどう見るだろうか?
友としてか?
それとも・・・・・・」

千夜一夜物語 (モンキー・パンチ)

2007-10-21 09:32:29 | 漫画家(ま行)
(2004年発行)

最近のモンキー・パンチの線って、昔に比べると随分細くなってるみたい。
昔の方がまるで画面から飛び出さんばかりの勢いがあったように思えるのだけど、
何だか穏やかになったっていう感じ。
勿論、それはそれで非常にいい感じがする。

特に「千夜一夜物語」を表現するにはこういうタッチの方がいいと思う。
繊細で華麗できらびやかな世界を、とっても丁寧に描いている。
宮殿内の造形。
絨毯など、布類の模様まで実に細かい!
手抜き部分がないって気持ちいいですね。

そして、女性の色っぽいこと!!

この話、全部きちんと描いていったら100巻ぐらいかかるらしい。
是非とも最後まで描ききって欲しいと切に願います。


天崩れ落つる日 (諸星大二郎)

2007-10-08 19:07:28 | 漫画家(ま行)
(1997年発行)

ゼピッタのシリーズや怒々山博士のシリーズなど、馬鹿馬鹿しくてナンセンスな作品を集めた本。

どれもこれも諸星流のナンセンスで面白い。
怒々山博士の顔なんて一番最初に登場してきた時は、
<少女マンガ家と劇画家とギャグマンガ家の合作キャラクターなのだ>
・・・と説明されてるが、とにかくそういう感じの顔だ。
ただ、後の作品になると、怒々山博士の顔も普通のおっさんの顔になってきてちょっとつまらない。あのめちゃくちゃ変な顔が良かったのに~!(笑)


シリアスなものからコメディ・・・そしてこういうナンセンスなものまでどれも諸星ワールドで描ききっているところが流石だな~~って思うのよね。

エリザベート (水野英子)

2007-09-07 14:11:38 | 漫画家(ま行)
(『クレア』1993年11月号~1996年2月号掲載)



<裏表紙の説明文より>
祖母は皇后”シシィ”エリザベート、
祖父はオーストリア国父と言われたフランツ・ヨーゼフ皇帝、
父は皇太子ルドルフ。
世紀末のウィーン、皇女エリザベートは名門ハプスブルグ家に生まれた。
5歳の時、父は若い男爵令嬢と心中し、
第一次大戦後にはハプスブルグ家が滅亡。
4人の子供を抱えて動乱の20世紀中欧を果敢に生き抜いたエリザベート。
塚本哲也原作の、その誕生から死までの波乱万丈な生涯。
ハプスブルグ家最後の皇女の物語を、水野英子が見事に描き切った話題作!!



今の若い子から見ると、こういう絵柄は”古臭い”と思うのだろうか?
確かに、今流行の絵柄とは言えないかもしれないが、
動乱の20世紀中欧を果敢に生き抜いたエリザベートの数奇なドラマティックな生涯を描き切るのに最適な絵柄だと思う。


作品全体を流れる、ゴージャスで上品な雰囲気はこういうタッチでなければ・・・と思うのだ。
ま、そりゃね、乗り物の表現とか、一般的な少女漫画の弱点というべきなものはあるんだけどね、
そういう細かい所をいちいち気にしてはいけない。



<水野英子によるあとがきより一部抜粋>
私がこれらの仕事を通して感じたのは、
華麗なる王族が決して幸福な人々ではなく、
時代と政治に翻弄される、むしろ不幸な人が多いのだということでした。
平凡な庶民のほうが幸せなのかも、とつくづく思ったものです。



同感ですね。
私なんて思いっきり庶民で良かったな~って、つくづく思います。(笑)

冗談新選組 (みなもと太郎)

2007-08-30 09:01:51 | 漫画家(ま行)
数年前にNHKでやってた「新選組!」の脚本家である三谷幸喜がこの作品を好きだって何かに書いてたと思う。
またこの作品のリ二ューアル版の様なものが出ていたと思うが本屋でちらっと見ただけなので確かな事は言えないけど、それに三谷幸喜が対談か何かで出ていたように思う。
まあそれはどうでもよいけれど・・・。

これは私が中学生の頃、少年マガジンに載っていたと思うのだが、土方さんが格好よくて大好きでした。
「ホモホモ7」なども好きでした~♪

ファーイースト(アスタロトシリーズ) 魔夜峰央

2007-08-26 11:40:42 | 漫画家(ま行)
魔界の四大実力者の一人、アスタロト公爵。
美貌の悪魔。権力も実力もある。性格はクール。・・・ただし、かなり「天然」でもある。(笑)
この、「天然」ぶりがいいのよね。美しく、クールだけだと当然過ぎてつまらない。そこに「天然」だという要素を加える事によって、よりキャラの魅力を倍増させているのでしょうね。


これは、ペンと墨汁を引っ張り出してくるのが面倒くさかった・・・という、それだけの理由で、サインペンで描いたものです。
手抜きはダメですね~という見本です。(笑)
・・・で、描いてみると魔夜峰央の絵はかなり口が小さくて、他のバランスも独特なので、マネするのが思ったより難しかったって覚えてます。

銀河英雄伝説  (作画:道原かつみ 原作:田中芳樹))

2007-08-22 22:39:04 | 漫画家(ま行)
この作者の絵は、軍人を描かせると非常にいい。
指先まで、ピシッと力が入っているというか、いかにもキビキビしているような感じが上手く表現出来ていると思うのだ。

原作は10巻あって、これは原作の2巻ぐらいまでだったと思うが全部漫画化して欲しいものである。

誰が好きかと、尋ねられると、やっぱりヤンと答えるでしょうね。
美形のラインハルトもいいけど、やっぱり顔じゃないですよ。
男は中身で勝負!!です。(日頃、美形がいい!!と言ってるわりに結構そうでない方が好きだったりする・・・)(笑)
ラインハルトって、シスコンだし、わがままだし、・・・たぶん一緒にいたら疲れると思うんですもの。それに比べてヤンは疲れない。
ただし、私もどちらかと言うとぐーたらな性格だから、ヤンのお世話は出来ないなー。
どーしよう?(笑)

この画像・・・似顔絵です。似ていなくてもお許しを!

座敷女 (望月峯太郎)

2007-08-20 09:25:06 | 漫画家(ま行)
いやぁ~~、怖いですねぇ~~~。

まず、表紙が不気味。
手前に寝ている男性の顔。奥に半分開いたドアの所に立つ髪の長い女。
蝶が2匹、蛾が1匹飛んでいる。(何故「蛾」なんだ?)
左に薔薇の花が1本。右は何故か木々が生えた外の風景。
裏表紙は表紙の上下逆になった「絵」。

これだけで、これから読もうとする読者に十分「不気味さ」とか「不安感」を与えてくれる。

冒頭部分、雷の鳴る怪しげな雲行きの天気。
どこにでもあるような、安っぽいアパートの全景。
下から見上げるアングルの階段。
各部屋に続く通路部分。
これは、単なる情景描写ではなく、実は「座敷女」の視点だと後でわかるが、そのあと、主人公が初めて見た「座敷女」の姿の描写が、ある意味凄い!

左手首の傷跡。不気味な顔。何故か紙袋。擦り切れた靴。
もうこれだけで十分不気味な女だという事が感じられる。

その後、主人公の「森ひろし」に対してストーカー行為をするわけだが、

100m10秒を切るロボットみたいな走り方で、いつまでも追いかけてくる。
空手している男性が何度蹴りを入れてもゾンビのように立ち上がる。
やる事は勿論、異常なストーカー行為。

こんな女現実にいないよなー、と思いつつ、いるかも?…と、フト思ってしまうところが怖い。

ラスト、結局どうなったのかわからないのも妙に不気味。

ただ単に「怖い」というより、じわじわ来る「不気味さ」の感じられる作品…かな?

TAc・Tic・・・s (モンキー・パンチ)

2007-08-05 20:59:36 | 漫画家(ま行)
(『週刊漫画アクション』1970年~掲載)

モンキー・パンチの絵柄ってかなり独特だと思う。
人物の描き方、背景の描き方、
顔の表情、動き・・・
ああいう足の動きでは絶対に歩けないというか、不可能な動きだけど、不自然ではない。
構図のとりかた、コマの向き、実験的な箇所も多々ある。

アニメの「ルパン三世」しか知らない人が、モンキー・パンチ作品を見ると驚くかもしれない。

この作品は30年以上前のもの。
古いといえば古いんだけど、絵もストーリーもモンキー・パンチ節炸裂っていう感じがする。


諸怪志異(二)壺中天 (諸星大二郎)

2007-08-03 09:08:40 | 漫画家(ま行)
(ACTION COMICS『諸怪志異(二)壺中天』(1991年3月27日初版発行)を文庫化したもの)

「壺中天」
自分の内部に入る事が出来る壺。
素人が入ると二度と出て来ることが出来なくなるという代物なのだが、欲深い夫婦が入ってしまうんですよね。
私なら訳のわからない壺の中に入る勇気はないですね。
・・・しかし、自分の内部・・・ちょっと興味はありますね。
私の内部って何があるんでしょうね?
漫画の本がどっさり??


道士の五行先生はいろいろと不思議な術が使えます。
木の腰掛はペガサスになって空を飛べるし、
紙を切って作った切り絵の虎や鶴は、そのものになる。
いつも落ち着いていてポーカーフェイスの五行先生、素敵です♪

弟子の阿鬼は失敗ばかりしてるけど、可愛いし、
子供の眼病を治してくれる女神の
「眼光娘娘」(がんこうニャンニャン)は、かっこいいおねえさんだし、
仙人のなりそこないの費長道(ひちょうどう)は面白いし、
とにかく出て来るキャラがどれも魅力的。

不思議な話に魅力的なキャラ。
これで面白くないわけがない。

諸怪志異(一)異界録 (諸星大二郎)

2007-08-02 12:09:04 | 漫画家(ま行)
(ACTION COMICS『諸怪志異(一)異界録』(1989年6月19日初版発行)を文庫化したもの)

<裏表紙の説明より>
岩場に立つ子供の姿をした化物に
手を引っぱられた途端、
人がそこから消えてしまう。
消えた人間は一体どこへ…!?
息子を消された男が、
行方を探しながら行きついた場所とは!?

道士の五行(ごぎょう)と、弟子の阿鬼(あき)が魑魅魍魎相手に大活躍!!
全11編収録!!


<作者あとがきより一部抜粋>
中国志怪の世界に魅かれるようになったのはいつ頃からだろうか。
「聊斎志異」のような体裁の本を作ってみたいと思っていた。
(中略)
私は中国の古典を基にしてオリジナルで話を作ることにした。


怖くて、不思議で、そして面白い。
オリジナルだと書いてるが、
本当は「聊斎志異」の中にある話じゃないだろうか、と思ってしまうぐらい、
中国古典のイメージそのもの。

この本に収録されている話の中で「異界録」という話がある。
これは
<体がめくれる>話。
口がピリっと裂けて、胴体が縦にビラーっと裂けて・・・
体全体がめくれてビシャッとつぶれる。。。

目の前にいる人間が突然、体がめくれてしまう・・・そういう様を想像してみると・・・
怖いです。
グロいです。
不思議です。
そして・・・面白いです。

ぼくとフリオと校庭で (諸星大二郎)

2007-07-13 14:40:50 | 漫画家(ま行)
(1991年発行)

10の短編が収録されている。
「影の街」1985年
「城」1990年
それ以外は1981年~1983年<漫画アクション>掲載。

最近の「栞と紙魚子シリーズ」などしか知らない若い読者が見ると絵柄は少し古いと思われるかもしれないが、雰囲気は<諸星ワールド>そのものっていう感じ。

どこにでもあるような町なのに、いつも通る道をほんの少し変えただけで突然現れる不思議な光景。
そういう世界が諸星ワールドっていう感じがする。

作者は「ぼくとフリオと校庭で」は自分でも愛着のあものの一本であると後書きに書いている。
ちょっと昔には確かにこういう世界が至る所にあったような気がする。
こういう雰囲気を懐かしく思える世代であるということは幸せなのかもしれない。
今の若い子には絶対にこういう雰囲気ってわかんないだろうな~って思うとちょっぴりラッキー♪っていう気がするのよね。

この本に収録されている作品で結構気に入ったのは「黒石島殺人事件」。
人口が百人もいない離島である日若い女性の全裸遺体が発見される。
顔はぐちゃぐちゃにされていたが、幸江だということになる。
しかし、その後幸江は生きていることがわかり、カツ子だということになる。
・・・が、カツ子も生きていることがわかる。
では、被害者は一体誰だ!?
という謎なのだけどね・・・。
これがあっと言うような結末。
ここではネタをばらさない方がいいと思うので、明かさないけど、こういう結末、結構好きかもしれない。