マックンのメモ日記

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日本のトイレは憧れの的 東南アでブランド化!

2014-10-24 18:39:12 | 経済・金融・投資
宝飾品やアパレル、自動車など欧米企業が幅を利かせる高級ブランドビジネスにあって、日本企業が優位に立つ分野があります。東南アジアの衛生陶器市場です。TOTOは高い技術力をテコに現地で「憧れのブランド」の地位を確立しつつあります。高級ブランドの育成が苦手とされる日本企業にも参考となりそうです。

9月。韓国ロッテグループの五つ星ホテル「ロッテホテル ハノイ」がベトナムで開業しました。1泊数十万円のロイヤルスイートルームには豪華な家具や調度品が並んでいます。大理石が敷き詰められたトイレにあるのは真っ白なTOTOの便器です。ベトナムでのシェアは約1割ですが、高級ホテルやコンドミニアム、スパに限ればシェアは高いそうです。日本で一般的なTOTOブランドも現地では「高級品の代名詞」だと言います。

ハノイ市内にある代理店のショール―ム入口に置かれた便器「ネオレスト」は価格が100万円超と、平均的なベトナム人の年収数年分に相当するのです。普及品でも数万円と他社製品の2倍近いのです。それでも販売が好調なのは、日本初の「「ハイテク」がベトナム人の心をとらえたためです。温水洗浄便座「ウォシュレット」はもちろん、汚れが付きにくい表面処理や紫外線照射による殺菌、少量の水で渦を巻くように流す「トルネード洗浄」などがあります。「便器は汚い」と言った固定観念を覆す技術が競争力の源泉です。

ただ、技術だけではライバルに追いつかれてしまうので、“高級ブランド”であり続けるには所有欲を満たす希少性などの演出もカギを握ります。消費にこだわりが強い富裕層を取り込もうと、広告はベトナム航空の機内誌など一部に絞っています。高級物件への納入はブランド戦略の柱でもあります。「五つ星ホテルや空港を抑えれば、ターゲット層に自然と浸透する」からです。こうした物件は世界中の企業が参画する大型案件が多いため、昨年、TOTOは東南アジアのヒト・モノ・カネが集まるシンガポールに戦略拠点「テクニカルセンター」を開きました。

一見、普通のショールームですが、利用できるのは不動産開発業者や建築家、デザイナーらに限られます。「最新技術の打ち合わせができて便利」と、世界的なホテルデザイン事務所、米ハーシュ・べドナー・アソシエイツのプロジェクトディレクター、シェイラ・カエタノ氏は評価します。2013年度にTOTOの日本と中国を除くアジア売上高は1億7540万ドル。4年で86%増え、営業利益は2,3倍の2700万ドルに膨らんだそうです。ライバルのLIXILは海外展開でTOTOに水をあけられたのですが、買収した欧米ブランドの活用で巻き返しを図ります。

タイのバンコク郊外で8月に開いたショールームには建築家やデザイナーが訪れます。「INAX」ブランドは現地で無名に近いのですが、LIXILが買収した米アメリカンスタンダードの製品が目当てであり、同ブランドは低・中価格帯を主体としているため、新たにINAXを高級ブランドとして育てようとしています。そして最も目立つ場所にはINAXの最高級品「REGIO」を据えています。来場者が黒い便器に驚き足を止めると、社員がすかさず温水洗浄便座などの機能を説明します。ある建築家は「INAXは知らなかったが、日本のハイテク製品には興味がある」とメモを取っていたそうです。

先行したTOTOにもライバルはいます。筆頭格は、滑らかな曲線のデザインや金メッキを施した水洗金具など、実用性より嗜好品としてのイメージを優先した米コーラです。「TOTOとコーラで悩む顧客は多い」と言います。カエタノ氏は「高級ブランドとして上を目指すのなら、機能だけでなくデザインを磨く必要がある」と指摘しています。日本企業は実用性を優先するあまり「退屈なデザインに落ちつくこともある」。技術へのこだわりには洗練されたデザインやマーケティングが加われば、日本初ならではの価値が生まれる可能性があると言います。

果たして、TOTOは東南アジアで憧れの企業から高ブランド企業に脱皮できるでしょうか。

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