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豚と軍艦

2006年11月14日 | 日本映画
豚と軍艦
1961年、昭和36年 日活
監督:今村昌平
出演:長門裕之、吉村実子、丹波哲郎

 セリフで「オメーなんか朝鮮戦争で死ねば良かったんだよ!」ってのがあったので、時代は朝鮮戦争(昭和25年)あたり。でも「自衛隊より凄いね!」との発言があるので昭和29年の自衛隊発足より後。横須賀の米軍港のクソったれな生活が描かれていました。ドブ板通りにはネオンサインが光り、ツレコミ宿はパンパンと水兵でごった返し、オンリーさんが小奇麗なかっこうでさっそうと歩き、ヤクザが弱きものたちからショバ代をかき集める…そんなかんじの映画だった。

 つい最近、横須賀に行ったのですが映画の演出もあってか昔の方が活気があったのかなと思ってしまいました…今の横須賀も街にはやはり外国人(つーか、アメリカ軍)が多くて、ガイジンの家族連れも頻繁に見かけた。彼らの住居は『思いやり予算』とかゆーもんで、専用のホテルみたいな宿泊施設で、居住区には娯楽施設から何から何でもあるって聞きます。今のドブ板は観光地ぽい雰囲気で、ヤクザが暗躍して売春が横行!!なんて雰囲気はまったくありませんでした。(昼間にぶらついただけなんですが…)ボウズアタマで帽子をかぶった海軍学校?の学生が店先のナイフのショーウインドウに群がっていたのが印象的でやんした…映画にでてきた横須賀線の列車はステンレス?になるの前のモデルでしたが、京浜急行は当時と同じ、赤に白の線の車両が走っていたみたいだった。猿島は変わらず猿島。横須賀軍港巡りという港をクルージングするやつがあって海軍施設をひととおり見たのですが、となりの市にすんでいながら、こんなもんがあったのかと少し驚きました。ちょうど訓練だか任務だか知りませんが空母などが引き払っていたので少し残念だったのですが、それでも生で軍艦や潜水艦をみると、かなりヤバイ雰囲気がヒシヒシと感じたのでありました。。船のアナウンスでは「空母は猿島と同じくらいデカイ」と説明されていました‥

 映画のヒーローは、街のチンピラで若き日の長門洋之。スカジャンをはおり水兵をポンビキして定食屋の地下にほりこむ。ヒロインの吉村実子さんは撮影当時17歳!その定食屋の娘でチンピラの女。親分株の丹波哲郎は背中に南無妙法蓮華経の入れ墨をして首からジュズをぶら下げている。(モデルがいるのかな…あれかな…)組は米軍のただ同然でもらった残飯をブタのエサにして、養豚会社で一儲けを企む…「キョウからアナタタチはリッパなキギョウケイエイシャ。もうけの1%を慈善団体に寄付してもらいます。」なんてなこと華僑だかハワイ出身だかの東洋人に言われて、ヤクザ系企業が設立スルノダ…
 『わたし、川崎に行くから あなたも一緒にいらっしゃいよ… あそこなら工場で働けるわよ』とチンピラの子を宿しているヒロインは言うが、チンピラが地道に働くわけがなく、次々と危ない橋を渡り組を抜けられなくなる…組を抜けるのも命がけで、組を抜けたやつがイビラれて首をくくっているのを見ている…そのうちヒロインも自暴自棄になって米兵と遊び、連れ込まれ、殴られ、犯され、まわされる…天井から全てを見ていた今村のキャメラもグルグル回る……
 ラストは夜のドブ板通りに豚があふれ、仲間に騙されたチンピラはヤケクソになりドブ板通りのど真ん中で機関銃をぶっぱなす。駆け落ちを約束したヒロインが待っているのに…結局、仲間に銃で撃たれ、警察に追われ、汚らしい便所に突っ伏して死んでしまう…ヤクザ連中はブタに押しつぶされ、圧縮トン死…死者まで出す大騒動のあと、担架で運ばれるチンピラを見つけたヒロインは「バカヤロー! バカヤロー!」と絶叫する…彼は永久に答えない…
 ヒロインは金回りの良いオンリーさんを母に勧められたが蹴る。彼女はゆかたも家族もクソッタレな街も捨て、川崎に働きに出る。列車が横須賀駅を出る。港には超巨大空母が入港し、水兵目当てのパンパンたちは横須賀の街に消えて行く‥


横須賀は2008年から原子力空母の母港となることが日米政府により合意された 横須賀出身の前総理は米国の要求に二つ返事で母港化を約束したようだ

第34回(1960年度)キネマ旬報ベストテン 第七位


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