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女性の勝利

2006年11月06日 | 日本映画
女性の勝利
1946年、昭和21年 松竹大船
監督:溝口健二
出演:田中絹代、桑野通子、三浦光子、徳大寺伸
場所:フィルムセンター

田中絹代演じるの女弁護士の話。この時代の弁護士の服装はちょっと異様な感じである。
冒頭、終戦直後の焼け跡の道を田中絹代が歩くシーンがある。焼け野原をヒールを履いて歩く田中がミスマッチで、道沿いには店舗というものが無く、道ばたでそれこそミカン箱の上で卵を売ったりしていた。
田中には戦争中の体制に反対して牢獄に幽閉された恋人がいた。彼は田中が弁護士になる上での恩人の河野検事に牢屋にぶちこまれたのだが、出獄後は足腰が立たなくなっていた。見舞いに来た田中に希望をかたる彼…

ある日、田中の家に乳飲み子を抱えた女が肉を売りにきた。その女は田中の同級生であったが、それを思い出した母親が田中を呼ぶと、彼女は逃げてしまった。ある日、その彼女の夫が病気で死んでしまう。残された彼女は発作的に赤子を抱きしめ続けて子供を窒息死させてしまう。田中は生活に負けてしまったと彼女を非難し、彼女に自首を進め、彼女もそれに従う。

この事件の公判の検事として選ばれたのは河野検事。田中は彼女の弁護に立ち、彼と対決することになる。河野検事の妻は田中の実姉であるが、彼女は前時代的な夫にそれでも仕えている。彼は田中に自分の出世話を話したり、彼女を弁護士にした恩義を彼女に売り、暗に公判に負けろとほのめかす。彼女の姉も河野検事の女性軽視に次第に反発を感じるが、行動に移せない…

裁判当日、病床の男は危篤に。枕元に田中駆けつけたが、危篤の彼を残し裁判に向かい、河野検事と対決をする。精神錯乱などなく計画的に赤ん坊を殺したと主張する河野検事。田中弁護士は無罪だと主張する。『そもそもの原因は日本を戦争に巻き込み、日本を滅茶苦茶にした人達である。被告の夫も軍事工場で酷使されたのが原因で死亡した。その責任を追及せず、彼女を攻めるのは不当だ!』

第一回の公判の後、同僚から病床の彼の死亡を告げられた彼女。彼女の姉は河野検事との別居を決意する。様々な思いを胸に彼女は第二回の公判へと向かうのであった。



戦後1年目の作品で、戦時中の情報局の後は今度はGHQの監視下で作成されているので、どこまでが溝口監督の本意なのかは分らないが、戦争に対する女子供や社会的弱者への素直な謝罪ともとれた。うがった見方かもしれないが、GHQの極東裁判へ民意を作る目的もあったのだろうかとも思える…溝口監督が自由に映画を作られるようになるにはまだ数年かかるようだ…


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